数日前のこと、

主人が仕事から帰宅してポストを覗き込んでいると

左隣N邸奥さんが玄関先から不審者でも見るように

身体半分だけを隠すようにして

我が家の主人の動向を眺めていたそうで、

主人がポストからダイレクトメールを抜き出した瞬間に、

N邸奥さんは駆け寄ってきて

「娘さんは元気にしてらっしゃるの?」

と尋ねてきたという。

 

うちは夫婦だけの二人家族で子供がいないので

「娘」は誰の事を指しているかわからない。

 

主人は誰のことを尋ねられているかわからず

無言でポカンとして立っていた。

すると奥さんが

「どなたか知らん会ったこともない人に

聞いちゃって悪かったね~、ごめんなさいね」

と言うと立ち去ったという。

 

「10年以上住んでいて、いつも顔合わせればご挨拶するのに

 僕のこと、どなたか知らん人と言われてショックだった」

と主人は動揺していた。

 

今日夕方私は、そのNさん邸の左隣に住むS邸ご主人と

すれ違ったので、「こんにちは」とご挨拶した。

たわいもない雑談をしたのちに、S邸ご主人さんから

「う~~んと、あんたさんはどこの家の人だったね?」

と尋ねられて、えっ?!

 

「Sさん、私ですよ、2軒隣に住んでるじゃないですか

ほら、そこの家ですよ、一昨日も、その数日前もお会いしていますよ」

 

「あ~~~、そうだったか?、あんたが誰かわからんくなった」

 

あはははは!!!! 笑うしかない。

 

10年以上住んでいて、毎日のようにご挨拶しているけど

お隣の奥さんも、そのお隣のご主人も、私達家族とは

とてもフレンドリーに会話をして下さるわりに

最近は「どこの家の人だったかね?」と尋ねられる。

 

2軒続きで、同じように認知症が進行しておられるのか

毎日リセットされて「どこのどなたさんでした?」から始まる。

 

たぶん、30年以上前の事は鮮明に覚えておられるんだろうな。。

 

だから引っ越し以前に住んでいたご家族の記憶がリフレインして

N邸奥さんも、たぶん気持ちは30年前に若返っておられるようで、

世にも奇妙な物語が現実に起きているような感じ。

 

認知症の方々も自治会の総会に出席なさっていることがある。

たまに地代の値上げ反対についての話し合いがあるけれども

内容は理解できているんだろうか。

 

近頃、怪しい業者がやってくるし、詐欺被害に遭わないか心配になる。

町内会の半数以上が70代、80代の方々で、どこかしら身体が不自由だったり

認知症が進んでいたりするので、色々と問題が起きることがあるけれども

それでも声かけをして会話をすることが大事だなと感じる。