今年のフリーは、ラフマニノフの「鐘」を使う。



これを見た感想をヒトコトで言えば、
「まだ、音楽を自分のものにしていない。」
選曲ミスだったかもしれない・・

2年前のピアノ発表会で、この曲を演奏しようかなと迷った曲だ。
私も、この曲の重厚感と壮大さが好きだ。

私が発表会で弾くのを断念した理由が、音色に厚みを出せるほどの技量も
自信がなかったためだった。相当に強い気持ちとエネルギーのいる曲だ。

浅田真央が、この曲を使用するのには相当な自信があるのだろうと思うけど、
これは表現力と技量の両方がパーフェクトに重厚で力強い説得力を持たせないと、
相手には何も伝わらない。
仮面舞踏会のように乗りやすい音楽ではない。
感性を乗せやすく、気持ち良く踊れる曲でもないと思う。

最近、踊っている姿をテレビでも見た。

優雅さは増したと思うけれども、勢いを感じなくなった。
今年のフリーが仮面舞踏会の方が良かったのかもしれない。

去年とは曲が違ってもプログラムは同じだそうで、調整の段階という。
それでも昨シーズンとは体型がまったく違うので、同じ事をしても
それ以上の結果を得られるかどうかはわからない。

もうすぐ、フランス杯が始まる。
今の段階では、審査員にアピールするものがないように
見えたので高得点が得られるかどうかは難しそうだった。

オリンピックでの選曲が良かったかというと・・・
この選曲は合ってないかもしれない・・と感じた。

タラソワコーチは、ああいう荘厳な曲が好きなのだと思う。
けれども、浅田真央にヤグディンと同じような期待をして厳格な曲を与えても
線の細い日本人の浅田真央は、ヤグディンのような社会主義国での生活体験を
してこなければ、この曲が合っているとは感じられないところがある。
ラフマニノフも社会主義国の厳しさを経験し、亡命した作曲家だった。

浅田真央は、タラソワコーチの言いつけを守れる優等生でも、今の段階では
この音楽のようなスケールの大きさには、まだ追いついていない。
スペインやアルゼンチンの華やかで情熱的なタンゴの音楽の方が、
まだ、今の浅田真央には踊りやすく合っていただろうに・・・。

タラソワコーチは、ヤグディンのようなスケーターを生み出したいと
夢を描いているとは思うが、浅田真央の気質や個性を見抜いているかどうかは疑問だ。