このところ、現副大統領と前副大統領の政権批判合戦が面白い。
特に、バイデン副大統領の言葉の中に、ブッシュ政権内が分裂していたことが出てくる。
誰が、最も権力を持っていたのか、ブッシュ政権下ではパウエル長官、ラムズフェルド氏が
途中で辞任することがあったが、なぜ、そういうことになったのかも見えてくる。
これはオバマ大統領の側近の立場で語っているもので、たとえば、北朝鮮の
ミサイル発射問題について、必ずしも副大統領が語った通りの結論を
導き出しているものではない。副大統領の思いを話している部分もある。
オバマ政権のバイデン副大統領にインタビュー
安全保障に関する政策について
イラク、北朝鮮、アフガン、イスラエル問題など
Q1. イラク撤退の時期について、どう考えているか?
副大統領
私は心配していない。予定の期間のうちに撤退できると考えている。
それには2つの理由があるが、1つは軍で、マリキ首相の存在だ。
彼は、まさにアメリカ軍の撤退を求めている。
これには政治的な協力が必要でシーア派、クルド派、スンニ派の協力が必要で、
マリキ首相とも大統領は話し合いをしている。
Q2. けれども、先日、オバマ大統領は急遽イラクに向かったが、バグダッドに入った。
もし安心であれば、電撃訪問の必要はなかったはずだが?
副大統領
数年間は、秘密にしないで訪問することはできるようにはならない。
今、まさにアメリカ軍の撤退について話し合いが進められている最中だ。
そして、イラクに責任を委譲するということになっている。
今、政治的な移行の時期でもあり、それはイラクの希望によるものである。
しかし、ここ数年の間には、安全にイラクに訪問できるようになることを望んでいる。
Q3. バイデン副大統領は、「オバマ氏が大統領になれば、半年間の間に
彼の手腕が試される時がくるだろう」と話していたが、今、北朝鮮の
ミサイル発射問題はその時期であると思うか?
副大統領
いくつかの腕が試されたと思うが、それはオバマ氏に限った話ではなく、他の大統領も
同じようにと、私は話したつもりだ。
今回、北朝鮮のミサイル発射が第三段階で失敗に終わったというのが、良い結果だったと思う。
今回は、信頼性がなかったということが明らかになったと思う。
ただ、おそらく、色々と試される機会はあるだろう。新政権になれば、色々な事が起きる。
ブッシュ政権でも、色々と起きた。 北朝鮮だが、地下核実験を実地したことがある。
Q4. 今回、北朝鮮に対しての非難はあるのか?
副大統領
それ以上のものが、あると思っている。 今、変化が起きている。
世界は大きく変わっている。たとえば、6カ国協議を行うということがあった。
これまでに何度となく過激な行動を取る事を繰り返してきたが、アメリカは非難してきた。
オバマ政権では過激な反応をするべきではなく、中国、ロシア、日本や他の国々ととも
強力な、或いは強硬な態度をとるべきだと思っている。強い非難は必要だと思っている。
さらに制裁を強化する必要があるかもしれない。
中国はもっと関与できると思う。これは別の問題だ。
中国とロシア、北朝鮮と、日本、韓国の関係の中で、強い非難をするべきだ。
Q5. チェイニー前副大統領は、あなたの外交政策について批判をしている。
オバマ大統領の政策によって、世界的に安全性をより低くしたと語っているが、どう思うか?
私は、まったく間違っていると思っている。
ブッシュ前政権は、私達に、このような酷い状況を置き土産として残していったわけで、
アメリカが最も信用をなくすような悪い結果をもたらしたと考えている。
その結果として2つの戦争を招いてしまい、未だに続いている。
他の地域に関心を寄せられないことなど、支障が出ている。
これを、できるだけ早く改善しなければならない。
今のほうが安全で、この過去の8年間と比べれば、国益が守られていると考えている。
私達は、アメリカのリーダーとしての能力を再構築しようとしている。
以前、私はブッシュ前大統領と話をした時に、「私はリーダーだ」とか言っていたが、
「あなたの後ろを見てみて下さいよ。あなたの後ろに誰もついてきていませんよ」と
私は大統領に言ったことがある。それが、その時のブッシュ氏の姿だったのだ。
Q6. 副大統領としては、この政権で何をやっていこうと考えているのか?
副大統領
私は、常に大統領と一緒に行動していきたいと思っている。
つまり、前政権の場合、皆は、いかにチェイニーの力が強かったかと言っている。
しかし、その力強さがアメリカを弱めたのだ。
私が何を言いたいのかといえば、ブッシュ政権は分裂していたということだ。
チェイニー氏は、国家安全保障省というのを、別に作っていたようなものだった。
パウエル氏とチェイニー氏の意見が合わなかった。
チェイニー氏は、ラムズフェルド氏とも対立していた。
前政権は、政権が分裂していた。 政府が分裂していたということだ。
今回の政権の強さは、大統領と私は、常に一緒に仕事をしているという点が大きく違う。
私は一緒にやっている。物事をよく把握している。
特に、国家安全保障の中で見て欲しいが、1つの団結したチームとして機能している。
Q7. ニューヨークタイムズ誌のレポートの中に、先週、意見の違いがあると書かれていたが、
これは事実か?
例えば、オバマ大統領の計画について、アメリカの関与をアフガニスタンに広げるというもの。
これは副大統領との論争の中で生まれた。これはその時には、意見が違っていたとしている。
アフガニスタンの戦争が強化されれば、軍は弱体化すると、軍の中から意見が出ていたとされている。
副大統領
もちろん、それは健全な論争だった。論争は重要だ。
アフガニスタンやパキスタンに増派の発表前のことで、私が上院議員だった頃のことになるが、
私が、まだ副大統領になる前には色々なことを見てきた。
私は、大統領になった人物に対して、基本情報を提供しようと考えた。
アフガニスタンやパキスタンの状況がどうなっているのか、イラクもそうである。
私達には明らかな戦略が必要だ。そして、その論争の後に、確固たる戦略が取られた。
Q8. ニューヨークタイムズ誌に書かれている点で心配はあるか?
副大統領
幾つかの心配はあったが、しかし、それらの問題点を解決したということが大事である。
大統領は、明らかに、私たちには目標があると語った。
オバマ大統領は、アフガニスタンやパキスタンにおいて、アルカイダや過激な組織を
排除することが目的だと話していた。 これが私達の共通の目標だ。
それを政策にするのが我々の任務である。
そして、軍や市民達が協力して、それをどう実現させていくかが重要であり、
そういう中では、私たちの考えは、常に一致している。
Q9. このアフガニスタンでのテロとの戦いは、オバマ大統領の戦争なのか?
副大統領
オバマ大統領と私は、ブッシュ政権時代に構築されたアフガンの誤って対処された
戦争を検証してきたが、 今、私達は、それを正そうとしている。
アルカイダによってコントロールされ、占領された国ではない国にするのが我々の責任である。
Q10. 言葉の問題だが、クリントン国務長官は、4月始めに次のように語っている。
「オバマ政権は、テロとの戦いといった言葉を使うのをやめた」と語っていたが、
本当に戦いは終わったのか?
副大統領
私は、直接、彼女のそう言った言葉を聞いてはいないが、私達の政策を反映している。
合理性のない政策を行い、より弱体化したと考えているので、個別に見ていく必要がある
と考えている。
イラクの問題は、それぞれのクルド派・シーハ派、スンニ派が和解して権力を分担できる
安定した政権を作ることがイラク国家の急務である。
しかし、アフガニスタンとパキスタンの国境地帯の地域は、これこそ、テロとの戦いの地域である。
アルカイダが住み、ビンラディンもいる。また過激なタリバンもいる。
世界の他の地域の問題の全てがテロとの戦いというわけではない。
Q11. では、テロは本当にあるのか?
副大統領
テロの脅威は本物だ。アルカイダによる脅威だ。 アルカイダの分派による脅威もある。
それ以外の問題もある。中東の問題は、テロとの戦いではない。
アメリカにとっては,、パレスチナは重要な問題だ。
イスラエルとパレスチナの問題解決は、アメリカの国益にかなうものと考えている。
Q12. アフガニスタンのカルザイ大統領は、ある法律に署名をした。
妻が夫のセックスを拒否した場合にでも、夫がレイプしても良いというが、
こんな法律のために、アメリカ兵はアフガニスタンで戦って死んでいるのか?
副大統領
これは、言語道断な法律だ。
第2に、私達がアフガニスタンに侵攻したのは、アフガニスタンで全てを正そうというのではない。
ブッシュ前政権と私達の違いは、私達は、タリバンやアルカイダを撲滅するために、そこにいるのだ。
Q13. タリバンは、カムバックしているが・・・?
副大統領
アメリカにとって、タリバンは国際的な脅威になっている。
タリバンの5%は、過激なイスラム主義者で、アルカイダと同じようなものだ。
アメリカ兵が死ぬことは容認しないが、さらなる攻撃を回避するために、
アルカイダを撲滅することは必要なことだ。
アフガニスタンの、その法律は嫌悪すべきものである。
しかし、アフガニスタンに限ったことではなく、中国などにも、そういった嫌悪する法律もあるので、
そういった法律の為に、自分達の子供を派遣して命を懸けろというのは正当化できないことである。
Q14. あなたは、毎日、大統領のブリーフィングに参加しているので、アメリカの極秘情報に
接していると思うが、アメリカの直面するテロの脅威に懸念しているか?
副大統領
アルカイダには、本当に懸念している。
テロリストは、実際にはパキスタンにいるが、ブッシュ政権下ではアルカイダを撲滅するための
具体的なターゲットを絞った政策は作成されてこなかった。
そのため、オバマ政権での国防予算では、情報収集のために多くの予算を投じている。
こうした本物の敵に対処するために武器についても多くの予算を割いている。
Q15. もう1つ、国防についての質問だが、新政権ネタニアフ氏のもとに、イスラエルが
イランの核施設を攻撃する可能性はあるのか?
副大統領
ネタニアフ氏が、そんなことをするとは思えない。
そんなことをすれば、良くない結果を招くだろう。
今、懸念していることは・・・・・、それは1年前と変わっていないことだ。