2009年3月1日
ハリウッド コダックシアター前
今年のアカデミー賞授賞式会場は厳重な警備の中で行われた。
会場を取り囲むように、周辺建物などからは警備の銃口が
向けられていたそうで、重々しい厳戒態勢の中で行われていた。
また会場内は、あらゆる場所を金属探知機で調べるなどしており
取材陣は、俳優や女優らに近づくことが困難なほどガードされていた。
なぜ、そこまで厳戒態勢だったのかは説明がないままだ。
ただ外国語作品賞について、下馬評が高かったイスラエル作品が
受賞しなかったのが気になった。この時、日本以外の数カ国は
戦争をテーマにしており、それらの作品の方が評判が良かった。
ちょうどアカデミー賞の直前頃には、イスラエルでは選挙戦があり
ガザ地区への侵攻について、世界各国から批難を浴びた時期と
重なった。
当日受賞したのが「おくりびと」で、政治的なものをテーマにした作品は外れ、
文化的なものが選ばれていた。何故だろうと思っていたところに、厳戒態勢
だった話が出てきたので、物騒なことが起きる予告でもあったのかなと思った。
私は日本の作品よりも、イスラエルの作品の方が気になる。
辺りかまわず放尿する少年 不衛生な地域
少女が住んでいた地域 ゴミだらけ
2月26日「スラムドッグ$ミリオネア」出演の子供に家のプレゼント
インド政府が「スラムドッグ$ミリオネア」に出演した子供達2人に家を与えたと報道
映画出演した子供達がスラムに住んでいることに、何らかの抗議があったようだ。
インド政府は、アカデミー賞を受賞した子供達がスラムに住んでいることを
好ましくないと判断したために、無償の家を与えたという。
イギリスやアメリカは、インドのスラム街に入り込み
映画製作によって、勝ち組と負け組の子供をつくった。
2月24日 アカデミー賞受賞も、素直に喜べないインドの人達
米アカデミー賞 インド旋風 スラム街の描写に栄誉 映画大国、複雑な胸中
これは本当にその通りで、CNNなど報道でインドのスラム街に触れて、
アメリカが、こうしてインドの貧しい人々に目を向けたおかげで、
世界中に知られることになり、この人達の生活が救われるかもしれない
ぐらいの報道の仕方をしている。
傲慢な見方だと思った。
アメリカは、イスラム社会や社会主義国、共産主義国に対して
自由な資本主義の薦めをしたがる。自分達の国を見習えといわんばかりに
市場原理の理想を押し付け、アメリカの資本力を新興国と結び付けようと
しているようで、あまりこのアカデミー賞を心から喜べないところがある。
おまけに、ハリウッドが海外を市場にした場合、有名俳優を使って出演料を
かけなくても、無名の一般人公募を使い、安く仕上げても宣伝力があれば
莫大な興行収益をあげることができると実証できた映画になったかもしれない。
CNNでも、そこを強調しているように思えた。
アメリカ人達のための賞なら、純粋に自分達の製作した作品を
称えれば良いのにと思う。
9時37分 低予算のインディーズ系映画ブーム到来か?!
インド「スラムドッグ$ミリオネア」がアカデミー賞を受賞した。
純粋にアメリカのアカデミックな作品が受賞しないところがミソだ。
もう1作品、インドは受賞している。短編ドキュメンタリー賞で「スマイル・ピンキ」。
貧しい家の口唇裂病の少女が病院で手術を受けて、心が変化する様を描いている。
インド市場の開拓のような感じがしてしまい、安上がりな製作費で
何億人もの人口密集地域で映画がヒットすれば、ハリウッドの
興行収入は潤うだろうなぁ・・。出演者の子供達にも、それほどの
出演料が支払われていないことも話題になった作品だ。
さっきスラムドッグ映画の出演料についてわかったことがあった。
出演者の子供達が18歳になるまで教育を受けられるように
教育費を出演料代わりに支払う契約になっているらしい。
18歳を過ぎれば、またそれ以上の報酬を支払う準備があるそうだ。
また、この作品は配給はアメリカでも、脚本をはじめ大半はイギリス人と
現地のインド人によって製作されている。英米合作とはいっているが、
アメリカでも、この映画を観た人は殆どいない。
DVDだけで配給しようと考えていた作品が受賞した。
アメリカは、これからも低予算のインディーズ系の合作映画が
増えていくのではないかと映画の識者が話していた。
去年、日本の邦画部門の興行収入がハリウッドの洋画部門よりも
大きく上回ってヒットしていたという。それを知ったハリウッドが、
日本の映画市場を狙っているという話を聞いた事があった。
ハリウッドの映画界の観客動員数は冴えないらしい。
ハリウッドが日本の邦画市場にどうやって進出するんだろうか?
金策面で、日米合作したいということかもしれないと思った。
その複線のような気がしてしまい、下心も見え隠れして
邦画作品が2作品も受賞したように感じられた。
何しろ、テレビに映し出される会場はシラケまくっていた。
ケイト・ウィンスレットも、イギリス人女優でアメリカ人ではない。
アメリカ人よりもイギリス人が喜んでくれ、多くのイギリス人達が
映画を観に行ってくれるかもしれない。
世界にハリウッド映画市場を広げようと、必死のハリウッド映画界。
唯一、アメリカ人達が、心から喜んだ場面があった。
それは助演男優賞を亡くなったヒース・レジャーが受賞した瞬間だった。
家族達が壇上に上がり、悦びの言葉を述べた瞬間に、会場内の俳優達、
皆の目が潤んだ。何のよどみもなく、本当に受賞を喜ぶのを見た瞬間だった。
考えてみれば、アカデミックじゃないのがハリウッド映画なので、
この賞自体が、アメリカ人の気質に似合わない。