4、城中の王室
ペレアスはアルケル国王に、今すぐにも旅立つことを
許してはもらえないものかと懇願しますが、なかなか
それを承諾してはもらえませんでした。
ペレアスの父上の具合が思わしくなく、いつ容態が急変する
かもしれませんでしたが、国王も母上も息子を気遣って、
そのことを内密にしておりました。
あまり旅に出たいと言うので、仕方なくそのことを告げましたが、
それでも気持ちの変わる様子もないので、アルケル国王は諭しました。
お前の父君の容態もあまり良い時ではないし
この国にいつ隙ができるかと敵国が狙っておる。
民衆たちも、飢饉で貧しく苦しい思いをしておるので
いつ、一揆が勃発するともわからんのだ。
マリュセリュスが亡くなって、友人の墓参りをしたい
お前の気持ちもよくわかるが、しかし、こういう時期
でもあるので、お前のこの国での立場や役割という
ものを、少し考えてはくれんかのう。
わしも、そろそろ目が見えなくなってきた。
必要な時は、そなたのするべきことを、このわしが
活動だ、義務の機会だと示してしんぜよう。
せめて、お前の父親の意識が戻り、動けるようになるまで
辛抱をして、しばらくの間は、この国のためにも
わしの手や足になってはくれんかのう。
旅立ちは、どうしても出かけねばならん時に
自然とやってくるものよ。
まぁ、それまで我慢して待ちなさいということじゃよ。
どのぐらいの間、待てばよろしいのでしょうか?
それは、数週間かもしれんし、数日かもしれんなあ・・・・
承知いたしました。
それでは待つことにいたします。
結局、ペレアスは国の事情、国王の気持ちを組んで
当面のあいだは、旅を見送ることにしました。