「今日は放射能が濃いいな。」
空を見上げた友達は迎賓館を出て電車の駅に向かう。友達は黒いマントの姿で足取りは早歩きだった。そして、駅で切符を買い、やって来た電車に乗り、四谷から電車に乗り込み周回電車に乗り込みドア付近にもたれながら立つ。
「・・・。」
窓から北側は見なかった。なぜなら北側は放射能に汚染された死の街が広がっていたからだ。核戦争から900年以上経ったが、放射能を除去できない人類には、生活エリアを広げる術はなかった。ただ眺めても悲しいだけだった。その感情も無くなり、もう何も感じなくなっていた。
こんな世界で自分のことが分かる人間がどれだけいるのだろう。自分が何者で、自分がどこから来たのか、それすら分からない。この時代の出生は、一部のお金持ち貴族は昔のように父親と母親に愛されながら育てられる。あとは食料調整と人口管理の名の下に、遺伝子操作で科学的に生み出される。純粋な人間は日本国で暮らし、遺伝子に変異が見られた者は外の世界に捨てられる。
西暦3000年の日本国とは、東京都の鉄道会社の山の手線があり、真ん中を横切る中央線の下部だけをいう。核戦争が始まり、世界が放射能で汚染されていく中、鉄道会社の山手線の中央線より下の地域だけ、放射能汚染防止シールドという科学的放射能を遮断するテクノロジーで、昔の豊かな日本の姿を保っている。
一部の都心に住んでいたお金持ち、政治家、公務員、権力者は生き残った。しかし、多くの日本人は大人も子供も切り捨てられ、体を放射能に侵されていった。
日本国、日本国民は放射能汚染防止シールドの中で生きている者のことを言う。それ以外の放射能汚染地域で暮らす日本人を準日本人と差別的な表現を使う。住んでいる地域によって呼ばれ方が違うのだった。広島・長崎を過去の被爆地というのなら、東北、名古屋、四国、九州を新被爆地と呼ぶ。
もしも地球が放射能に汚染されたら、宇宙戦艦や人型ロボットで宇宙に脱出すればいいと昔の人は考えたかもしれない。しかし現実は地球が放射能に汚染され、人間は今を生き残るだけで精一杯で、宇宙技術の開発など、人類の存続と関係ない技術は放置された。仮にロケット技術があったとしても、放射能に汚染された地球では貴重な資源やエネルギーが揃わないのである。現在、開発進行している科学技術は、放射能関係か生命関係に限られている。
「次は渋谷。」
電車の車内にアナウンスが流れる。電車に乗っている人間の量は2,30で普通であった。山の手線を中央線で区切り、下部は日本国として、放射能汚染防止シールドに守られた緑と水のある豊かな土地。しかし上部は準日本国といわれる放射能汚染地域になる。
電車も放射能に汚染されないように、放射能汚染防止シールドの中だけを一方通行で左回りにだけは知っている。陛下にあった友達は渋谷の駅で電車を降りた。