スジャです。




唐突に児童書ですみません。




私の人生の中で初めてきちんと読んだ本は「ぐるんぱのようちえん」(こちらの挿絵を描かれた堀内誠一さんのすごさを最近知りました)ですが、初めて子供ながら"考えさせられた"のはこの「いやいやえん」です。


とても有名な本なので、読んだことのある方も多いでしょうね。




前回、私は"後味の悪い映画が好き"と書きましたが、この「いやいやえん」は人生初めての"後味の悪い本"でした。




登場人物の鬼だとか、いやいやえんのおばあさんとか、他の園児とかがあるとき急に乱暴だったり、気味が悪いほど意地悪だったりして、精神的な緊張を覚えさせられる本でした。しかも、いちいちしげるがバカでワガママなので、本当に一話読むごとにヘトヘトで・・・。


ちこちゃんの服を着せられるとしげるの身体が言うことをきかなくなり、ちこちゃんと同じことしかできなくなる話は、幼かった私にはシュールすぎて怪談に近いものがありました。




「ぐるんぱ」のように一筋縄ではいきません。


果たしてこの本は子供用なのか? 子供にこんなひねくれた部分を見せていいのか? 読んでいる子供はこの不思議なノリについていけるのか・・・?


「いやいやえん」を思い出すたび、私の頭の中で様々な憶測がぐるぐる回る状況が何年も続いていました。




が。




ここ数年、いろいろなところで子供と触れ合って発見したことがあります。




「子供って、対等に接すると意外に食らいついてくる。」




思考方法も、言葉も、あえて子供を意識しないでいても、子供はそれについてきてくれて、勝手に楽しんでくれる。子供は私が思うほど子供じゃない。




「いやいやえん」を読む子供も、実は私たちが思うほど単純・純粋じゃないのかも知れません。


実際自分が幼稚園のときって、意外に大人の顔色を伺ってワガママを言ったり控えたり、あえて子供を演じていたところってありませんか? 抱っこで布団に運んで欲しいだけでうたた寝するなんて、その第一歩です。




この作者は子供相手にも手加減せず素直な気持ちで物語を執筆し、それが子供たちの素の心を捉えてこんなにすごいベストセラーになったのではないでしょうか。






毎年5月に会い、その度に本をプレゼントさせてもらう男の子がいるのですが、来年は5歳になる彼に「いやいやえん」をあげようと思っています。




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Lindaです。


ダンブラウンの新刊'ロストシンボル’はフリーメイソンネタだそうです。
私も発売されたとたん購入しましたが、いまいち乗り切れず、この人の本は’ダビンチコード’以外現実離れしすぎていて、私の趣味じゃないみたい。
話がそれましたが、彼が新作でそれを取り上げているから、最近フリーメイソンにやたらとスポットライトが当たっているような気がいたします。
かくいう私も、先日イギリスに行った際、フリーメイソンの本部を見てきました。
館内は一般公開されていないのですが、その外観からフリーメイソンのパワーを感じました。

でも。
実際フリーメイソンってなにやってる団体なんだろう?
と、思っている人はたくさんいるんじゃなしかしらん?
都市伝説的にオカルトっぽくとりあげられる事の多いこの団体について、成り立ちからその思想、目的、日本におけるフリーメイソンまで、分かりやすくまとめられている本が吉村正和著『フリーメイソン』です。
これを読めば、フリーメイソンとは何ぞや!?という部分がかなり明白になる事間違いなしです。

そもそも、フリーメイソンはイギリスで起こり、発展した社交サークルのようなものだったようです。それが、貴族や王族が加入した事から急速にその力を伸ばし、ヨーロッパの啓蒙思想の広まりとともに全ヨーロッパへ普及していきます。
人間の平等を唱う啓蒙思想と古代神秘主義のミックスのようなそのフリーメイソン精神は、個々の人間の完成より、社会の融和や理想社会の実現を目的とし、理性、道徳を重んじます。
そして、彼らが実現しようとしたユートピアは実際に実現するのです。
アメリカ合衆国は、フリーメイソンが主体となって築き上げられた国家です。
事実、アメリカの自由の女神はフランスのフリーメイソンから送られたもので、台座にはその紋章も刻まれているそうです。
そのためか、建国の父、ジョージワシントンを含め、歴代大統領の多くはフリーメイソン会員です。
まさに、彼らの思想を体現した道徳国家が誕生したのです。
ヨーロッパから始まり、その新しい思想と人脈により、ゲーテ、バッハ、モーツァルトなどの芸術家からナポレオンボナパルドや、神聖ローマ皇帝のフランツ1世など、軍人、王族にも広まったフリーメイソンは、アメリカ建国の中枢を担い、さらに、現在は慈善団体としてその地位を確固たるものとしているようです。
メンバーは、アメリカが最大で、マッカーサー、ヘンリーフォード、カーネルサンダース、デュークエリントンなど、私たちも知っている大物の名前が連なっています。
日本における初代フリーメイソンは啓蒙家であり、貴族院議員でもある西周が有名だそう。

と、だらだら書きましたが、こうしてみると、彼らはオカルト集団でもなんでもない事がわかります。
ただ、その儀式は神秘的で、秘密が多く、儀式を受けた人は決して口外してはいけないそうです。。。



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スジャです。




私は、後味の悪い映画がとても好きです。観終わって、映画館出て、家に帰って、ご飯を食べて寝て、次の朝の通勤電車の中までもずっとその映画について悶々と考えることが大好きです。


分かりやすい、あらすじが見えているような映画を観てスッキリされる方もいらっしゃるでしょうが、私はその反対に何日も余韻を楽しめる映画の方がコストパフォーマンスが良いような?気がするのです。




さて。


今回の「伽耶子のために」は後味の悪さではダントツの作品です。




「在日文学」というジャンルをご存知でしょうか。


在日韓国人や中国人の方の書かれた作品というくくりです。こちらの李恢成や「血と骨」の梁石日をはじめとして、柳美里や鷺沢萌といった人たちも一応その中に分類されます。


しかし民族意識の薄まった三世や四世世代が中心となった今の世の中ではあまりもうそういったジャンルが意識されなくなっているかもしれません。また、作者当人たちもそういったジャンル分けに反発を覚えたりピンとこなかったりもするかと思います。




これは「在日文学」という言葉を大学の講義で知った私が、同じ授業を受けていた友人から借り受けた本です。


内容は本当に在日朝鮮人、韓国人のコミュニティの話で、時代も昭和30年代から40年代が舞台、政治・国籍・民族の全てに揺さぶられる人々を書いた、まさに「在日文学」の骨頂と言える作品かと思います。


民族内での数々の噂、現在の貧しい生活からの脱却の糸口を探る日々。ただひとつの選択が違っただけで運命が大きく変わった人たち。。。胸が締め付けられるような気の毒な事件や人が持つ冷酷さを垣間見たりして精神的に疲労の大きい作品です。




1980年代に南果歩さん主演で一度映画化されていますが、私としましてはこれを読むのは1日でも1年でも後でということをお薦めします。


なぜなら、現在の韓国と北朝鮮の状況と当時が大きく異なる部分もあり、大変発見が多いからです。




結局世の中はめまぐるしく移り変わり、政府や国家、国際的状況も大きく変わってくる。そんな中で彼ら同様、私たちもたくましく生きぬいていかなければならない。




そんなことを学ばされた作品でした。



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