宮崎吾郎最新作『アーヤと魔女』は、残念ながら概ね不評という印象。

 

確かに従来のジブリ作品と比較すると、話の方向や目的は最後まで全く掴めないし、主人公アーヤは生意気で「成長」のような心の動きはまるで感じられない。

 
普通ジブリを求めに来た観客から総スカンを食らうのはむべなるかなというところ。
 
 

しかし、彼女のその「成長しなさ」こそが、本作の最もチャーミングなポイントなのである。

 

 

 

毒親に引き取られる孤児、という最悪な展開から始まる物語。

 
しかしアーヤは怯むどころか、やたら高度な頓智と悪知恵でみるみるうちに状況を有利な方向に変えていく。

 

試練→挫折→成長といった文脈を全く無視した彼女の言動は映画が進むほどクセになり、気付けば痛快に。(終盤アーヤの部屋の「とある変化」には、狂気にも近い静かな笑いとカタルシスが)

 

 

正直このご時世、テンプレートのような「葛藤」に付き合っている心の余裕は全くない。

 

10歳にも関わらず高度な処世術を次々と披露してくれるアーヤ。

彼女を見ているうちに、今本当に渇望しているのはまさにこんな物語なのではないかと思わせられてしまう。