規矩っていうのは、確か規則のことだったか | 煞笔のブログ

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「あ、そうだったな。すっかり忘れてた」

 クロイツは手を叩いて、無言でたたずんでいる男の方に目をやった。

 つられるようにして、コーカも男を見る。
 この男を見るのは二度目だな、と思う。umbrella 傘
 一度見ているとはいえ、その男の醸し出す異様な雰囲気には慣れない。

 その男は、学生服を着ていながら学生には見えなかった。
 シャツを着ず、学生服のジャケットを素肌にそのまま羽織るようにしていた。そして顔の右側に、酷い火傷の痕があり、右目には眼帯をしていた。長めの髪をオールバックにしている。

 だが、男が学生に見えないのは、その格好の特異さばかりが原因ではない。
 全身の筋肉、体だけでなく顔の筋肉までもが、異様な状態だった。
 それは、例えば学園長のように巨体で、筋肉が発達しているということではない。いくら発達していようとも、いくら鍛えようとも、筋肉は筋肉だ。強固でありながら弾力性を持つ。当然だ。筋肉は収縮することによってその力を発揮するのだから。
 にも関わらず、男の全身の筋肉は、見たところ弾力性を感じさせなかった。

 一体、どのように鍛えればこんな筋肉ができあがるのか。体を徹底的に鍛えているという自負のあるコーカにも分からなかった。

 鉄、いや石。男はその筋肉のためか、巨大な石から無駄な部分を削り取って出来上がった彫刻を連想させた。折りたたみ傘

「構わぬ。俺とて規矩(きく)くらいは知っている。会議を進めてくれ」

 石のような男は、短くそう言った。
 声もまた、硬く静かだった。

 規矩っていうのは、確か規則のことだったか。
 コーカは頭の中で確認する。

「いいのかい? だって君、まだ司法会の会長になって間もないだろう。代表者会議の詳しいルールとか司法会の現状、分かってないんじゃないの? ま、君がいいならどうでもいいけど」

 クロイツは忠告をした。折りたたみ傘 軽量

「気遣い無用。この地位は簒奪したものとはいえ、嗣法(しほう)は済んでいる」

 嗣法が、師匠から法を受け継ぐことだな。この場合は、既に大体のところは済んでるってことだろうな。
 翻訳をしながら、コーカはうんざりとする。
 この男はいちいち回りくどい言い回しをするので、話すのが疲れる。

 だが、この男を、司法会の会長となった男子学生――|雲水(うんすい)を無視して会議をするわけにもいかない。

「しか
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