9月定例会が始まりました。駒井千代議員の一般質問をレポートします。

 

『県立図書館80周年を迎えて』

 

駒井議員

コロナ禍を経て求められる図書館サービスについて、滋賀県としてどのようにとらえたか

県答弁

図書館が普段通り開き、図書館の基本機能を確実に果たすことの重要さを改めて認識した。一方でコロナ禍を経て人々の生活様式は大きく変化し、デジタル化も進展。環境の変化を踏まえ、今後の図書館サービスについて考えていく必要がある。

 

駒井議員

 図書自動貸出返却装置について

県答弁

カウンターの混雑緩和や窓口業務の効率化につながるとされ、長浜市、草津市、守山市の図書館で導入。市町に比べ膨大な資料を有する県立図書館では、導入の初期コストが高額となる。個々の本に貼り付けるICタグに寿命があること等から現在は導入をしていない。司書が専門性を活かした業務に注力できるよう、業務の効率化に加え今後の技術革新の動向を注視しながら、様々な機器の導入を検討したい。

 

駒井議員

 電子書籍サービスのメリットについて

県答弁

電子書籍サービスは、図書館に行かなくても図書の利用ができる。GIGAスクール構想などと組み合わせて、すべての子どもたちが同じ本を見ながら授業が行うことができるなど、様々な活用の可能性があると認識しいる。文字の拡大や白黒の反転、テキスト読み上げの対応ができるものもあり、視覚等に障害のある人々へのサービスとしても有効と考えている。

 

駒井議員

電子書籍サービスの課題について

県答弁

初期導入費用のほか毎年の維持管理費用が必要で、図書館向けでは多くの場合、書籍の価格が個人向け販売価格の数倍から十数倍の価格設定となることがある。また、提供されるタイトル数が紙媒体に比べ少ない、また、新刊書やベストセラーが提供されにくい課題もある。購入形態によっては図書館が書籍のデータを所有できず、業者との契約を解除するとそれまで費用を払っていた書籍も閲覧できなくなるなど、県立図書館の資料保存センター機能の観点からも課題がある。

 

駒井議員

電子書籍サービスの導入について

県答弁

電子書籍サービスの導入は、本年7月に開催された第28回目首長会議で複数の首長から県域で導入している長野県を例に検討を行ってほしいと意見があったと聞いている。今後、電子書籍サービスのメリットや課題、利用者のニーズ、市場の動向、市町立図書館の御意見等も参考にしながら導入について検討していきたい。

 

駒井議員

青空図書館について

県答弁

今年度は「こども としょかん」に係る試行の取組で、10月にびわこ文化公園内のわんぱく原っぱでの「出張こども としょかん」を実施予定。図書館のすぐ側まで来ながら、図書館には来ていただけない子に対して、様々な本の展示や読み聞かせを通して図書館をPRし、子どもを対象にアンケートを実施して、子どもの生の声を今後の取組に活かすことを目的として実施する。びわこ文化公園を利用されている多くの子どもたち、また保護者の皆様方が図書館にも来てもらえるように、取組について検討を進め

 

駒井議員

日本十進分類法と多様な配置それぞれの利点について

県答弁

「日本十進分類法(NDC)」による配置は、日本で図書をテーマ別に分類する際の基本となる分類法で、複数の図書館において同一、同じ方法で図書を探せるメリットがある。一方、例えば「琵琶湖」をキーワードに地理や歴史、自然、環境問題、産業など、複数の主題を組み合わせた配置方法であれば、琵琶湖全体を様々な角度から利用者の皆さんに提示することが可能。県立図書館でも、児童室内に森の本のコーナーや季節に応じた本の展示を行うなど、分類にとらわれず様々な切り口で図書を紹介している。

 

駒井議員

焼津おもちゃ美術館に併設されている「やいづ えほんと」では手前のネットの部分では保護者の方が乳児を抱いて寛がれており、奥の小部屋は子供たちの秘密の部屋のようなもの。様々なお気に入りの場所で初めて本をゆっくりと読むきっかけづくりとして、環境づくりも大事なのではないか

県答弁

県立図書館では、「これからの滋賀県立図書館のあり方」に基づく「行動計画」において、「利用者が快適に過ごせる空間の提供」を掲げ、談話室・雑誌コーナーのレイアウトの見直し等を行ってきた。空間は一定限られたものですが、今後も、利用者の方々のニーズ、施設の有効利用の観点から検討を進め、「県民がくつろげる空間づくり」に努めたい。

 

駒井議員

大会議室を中高生が利用できる場として開放することについて

県答弁

県立図書館の大会議室は、現在は図書館主催の研修事業のほか、文化ゾーン施設や読書関係団体等の会議、行事等に使用している。大会議室は図書館本体とは別棟で、外部から直接出入りできる構造。開放するには防犯上の課題、また、エレベーターが設置されていないなどバリアフリーにも課題がある。現状、大会議室の開放は課題が多くあるが、中高生の居場所づくりとしてどのようなことができるのか、今後研究を進めたい。

 

駒井議員

公共の施設としてどう利用できるか、一歩進んで考える必要があると思うがいかがか。

県答弁

平日の夕方に使っておられる場合は、どちらかというと様々な学習の場として居場所として使っている場合があるので、大会議室をどのような形で開放することが住民の皆さんにとって一番有効なのか、その目的なり内容を研究しながら考えていく必要がある。

 

駒井議員

中高生が少しでも利用できるよう学生の意見も聞いてみてほしい。

県答弁

小中高生の意見を聞き施策に反映するのは大変重要と認識しており、本年3月の総合教育会議で中高生の意見を聞いた。本年も小学生の声も聞きながら取組を進めている。びわこ文化公園にどういう中高生が土日に来るのかという点も含め、様々な声を聞いていきたい。特に、近くには東大津高校もある。中学校、小学校もあるので、関係者の皆さんとお話ししながら、子どもたちの声もしっかり聞き考えていきたい。

 

駒井議員

特別支援学校への支援について

県答弁

令和3年度末に作成した滋賀県読書バリアフリー計画に基づき、今年度はすべての特別支援学校を司書が訪問し、実態や課題の把握に努めている。各校の現場では、児童生徒一人ひとりに応じた本の活用や図書の整備、環境づくりなど、様々に工夫を凝らしながら取り組んでいる状況。今後、選書への助言、読書をしやすくするための支援など、視覚障害者センターなどの関係機関、地元の公共図書館とも連携や調整を図りながら、その支援の在り方について考える。

 

駒井議員

多様な居場所との連携について

県答弁

現在、「こどもと しょかん」について検討を進めているが、すべての子どもが読書に親しむためには、子どもが置かれた状況に関わらず、身近な環境で読書に触れる機会があることが重要と考えている。子ども食堂をはじめとする多様な子どもの居場所に本を届けられるよう、市町の図書館、関連団体、読書ボランティアの方々とも連携し取組みたい。

 

駒井議員

アーティストやイラストレーターと県立美術館との連携について

東京都葛飾区の「絵と言葉のライブラリー ミッカ」では、絵本の世界に没入するイメージで工夫をされている。入り口にイラストがあったり、絵本に出てくるパフェを自分なりに絵を描くワークショップ、その後に、綿を染めてパフェを工作してみるワークショップをされていた

県答弁

学びのスタートはすべて興味や関心を持つこと、そこから主体的な学びは始まると考えている。議員からご紹介のライブラリーは、いずれもワクワク感が伝わるもので、普段読書をしない人も呼び込める仕掛けになっている。県立図書館は、緑あふれる文化ゾーン、隣に県立美術館という強みがある。現在、美術館のワークショップに司書が参加し読み聞かせを行うなど連携しているが、今後「こども としょかん」を進めるにあたり、県立図書館におけるアートを取り入れた空間づくりの視点も持って考えたい。

 

駒井議員

 場としての県立図書館の在り方について

県答弁

「これからの滋賀県立図書館のあり方」は、

・全ての県民の「知りたい」「学びたい」に応える図書館

 ・自ら学び、考え、行動する県民を支える「知の拠点」

が図書館の根本的役割だと考えております。図書館や、図書館を通じた学びに触れていただくために、すべての人に開かれた場としての図書館は、これからますます、自由を得ていくためにも重要になると考える。県立図書館も今以上に多くの人が訪れてもらえるよう、さまざまな工夫や努力、改善をすることが大切。ぜひ、多くの皆様方のお声を聞きながら、現在、県立図書館を活用されていない人にも使ってもらえるような、また、いただく御負託に、御期待に応えられるような、取組を進めたい。