むかし、むかし、

さだちゃんが、まだ子供の頃のお話です。

 

家が近い幼馴染の女の子に、<修ちゃん>というお兄さんがやはりました。

 

妹といつも仲良くしていた、さだちゃんに、

修ちゃんは、とても優しく、兄のように接してくれていたので

さだちゃんは、修ちゃんが大好きでした。

 

ある日のこと、道で出会った修ちゃんが

本を数冊、白いバンドでくくって、持ち歩いているところを

偶然目にして、カバンがあらへんのかな~と思った

 

さだちゃんは、家に帰るやいなやミシンの前に座り、

修ちゃんの本を入れるためのカバンを縫いはじめました。

 

それはそれは、良い出来で、素敵なカバンに思えた自信作が完成したので、

<修ちゃん、これ作ったし、本入れるのに、使って!!>と

早速、修ちゃんのもとに届けたのでした。

 

少し複雑な表情で、でも、<ありがとう。>と

渡されたカバンを受け取った修ちゃんは、

それから3日間、カバンに本を入れて、使ってくれたそうですが、

 

その後、道で出会った修ちゃんの手には、再びあの白いバンドで

くくられた本の束が、あり、それ以降、さだちゃんお手製のカバンを

見かけることは、ありませんでした。

 

<なんで、カバン、使うてくれはらへんのかなぁ。。。>と

幼馴染の女の子に、尋ねたところ

 

<ちょっと恥ずかしいって、お兄ちゃん、言うてたわ。>

 

と、答えてくれました。

 

ほんまに、心を込めて、細部まで丁寧に作ったカバンやったから

修ちゃんに持ってほしかったさかい、あれは、子供心に、

ほんまに、ショックやったなぁ~と笑いながら話してくれました。

 

さだちゃんと修ちゃんは、その後も、ご近所さんでしたが

なかなか会えずに、いましたが、40年ほど後に、

お町内の地蔵盆で、台所用品の福引き大会があった駐車場で、

 

<修ちゃん!!>

<さだちゃん、か!>

 

と再会できた場面に、私も居合わせました。

 

ただ、それが一回きりの感激の再会で、

今、修ちゃんは、うちの近くの病院の療養病棟と介護施設とを

行ったり来たりされている、とご近所さんからのお話を伝えると、

 

<修ちゃんに、会いたいな~~!>

<修ちゃん、カッコよかったからなぁ~!>

 

と、いつもいつも、懐かしく、ほろ苦いカバンの想い出とともに

修ちゃんを思い出す、さだちゃん、でした。(*^^*)