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加齢による認知機能低下と腸内細菌に関連性。若者の便を移植するという未来が来るかもしれない(英・伊研究)

 

年を取ると物忘れが激しくなる。それは認知機能が低下しているせいだが、かといって脳だけが原因というわけではない。実は腸内細菌を大きく関係しているという。

 ある実験で、歳をとったマウスのフンを若いマウスに移植してみると、学習能力や記憶力が低下してしまったのだそうだ。老化にともなう認知機能の衰えが、腸内細菌と関係していることを示す新たな裏付けだ。

 「このところ、”脳腸相関”という脳と腸で行われる双方向コミュニケーションが、行動や認知機能を形作るうえでのキープレイヤーとして浮上してきました」と、英イースト・アングリア大学のDavid Vauzour氏は話す。

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脳と腸の不思議な関係

 これまでも、うつ病の発症記憶力人格など、一見したところ腸とはまったく関係なさそうな事柄が、腸内細菌に左右されているという意外な事実が明らかにされてきた。

 しかし、どのような因果関係によってそうしたことが起きているのか、まだよく分かっていない。

 それでも、脳の変化が腸内細菌を変化させることは判明している。たとえば、脳卒中を起こしたマウスを観察した実験では、それによって腸内細菌の数が変化することが確認された。

 それとは反対に、腸内細菌によって作られた代謝物が脳にたどり着き、神経血管疾患を悪化させることも分かっている。

腸と脳の関係

iStock

 

 

 

 

老いたマウスのフンを若いマウスに移植する実験

 イギリスとイタリアの共同グループによる今回の研究では、老いたマウスの腸内細菌を若いマウスに移植するという実験が行われた。

 仮に、腸内細菌が加齢にともなう認知能力の変化に関係しているのならば、老いたマウスのフンを移植された若いマウスの認知機能が変化することになる。

 実験では、抗生物質を投与して腸内細菌を除去した生後3か月の若いマウスに、24か月のマウスから集めたフンを移植。それから代謝・認知・行動に関するテストを行い、その影響を評価した。


 

フンを移植された若いマウスの認知機能が低下

 すると探索行動や自発運動、不安を示す指標には特に変化がなかったが、迷路を利用したテストの結果から、「記憶力」と「空間学習力」の低下がうかがえたという。

 また便微生物移植(糞便移植)によって、海馬におけるシナプス可塑性と神経伝達に関係する「タンパク質の発現」も変化したという。

 海馬は記憶や学習だけでなく、空間移動、情動行動、気分といったさまざまな機能に関係している。老化にともなう記憶力と空間学習力の低下が、海馬の機能低下と関係していることも過去に指摘されてきた。

 そんな海馬にとって重要なタンパク質の発現が、便微生物移植によって変化したのだ。

 「要するに、認知機能という点において、若いマウスの行動が老いたマウスに似てしまったということです」と、Vauzour氏は説明する。

 

 

 

ねずみ

便微生物移植で脳を健やかに保つことはできるか?

 ここで疑問に思うのは、実験とは逆に若いマウスのフンを老いたマウスに移植して、認知機能を改善したりはできないのだろうか? ということだ。

 これに関して、腸内細菌を調整すると、高齢者の認知機能を健やかに保つ手助けになる可能性を示唆する研究はいくつかあるという。

 また、中国で昨年承認された藻類から抽出された薬は、腸内細菌に働きかけることでアルツハイマー病の症状を緩和すると謳っている。

 今のところ、ここで疑問に思うのは、実験とは逆に若いマウスのフンを老いたマウスに移植して、認知機能を改善したりはできないのだろうか? ということだ。

 これに関して、腸内細菌を調整すると、高齢者の認知機能を健やかに保つ手助けになる可能性を示唆する研究はいくつかあるという。

 また、中国で昨年承認された「藻類から抽出された薬」は、腸内細菌に働きかけることでアルツハイマー病の症状を緩和すると謳っている。

 今のところ、便移植によって若い頃の頭脳を取り戻せるとまでは断言できないそうだが、若者のうんちが若返りの薬のように扱われるようになる日が来る可能性はあるようだ。


この研究は『Microbiome』(10月1日付)に掲載された。