年末の仕事は、生徒の楽器選定でした。

 

image(これは以前の写真)

 

 

高校生と1880年、1920年、1970年に製作された3本のヴァイオリンを弾き比べ。

 

楽器を買うのは一生のうちで数回でしょう。

 

私も自分の楽器を買った時のことをよく覚えいています。

 

生徒の楽器購入に立ち会うのは、とても大事な時間です。

 

 

 

  楽器の個性

 

 

1880年は、柔らかい音質で弾き心地がとても良いけれどパワーは無い。

 

表板に長く大きなクラックが魂柱側に入ってしまったのが原因で、音質は柔らかいけどパワーがないのです。

 

その分、お値段がお安くなっています。

 

 

1920年は、E線が鳴りすぎてキンキンしている。

 

高音の倍音が鳴りすぎているので耳に来ます。

 

その分、音量があるのでソロを弾く時に頼りになります。

 

でも購入者はまだ初心者の高校生なので、

 

ここまで鳴らなくても良かったりもする・・・。

 

 

1970年は全体に安定している。

 

突出した個性はないけれど、

 

キンキンもせず、頼りない感じでもなく、バランスが良い。

 

 

 

  音色は変化していく

 

 

生徒はバランスの良い1970年とキラキラした音の1920年で迷いました。

 

「あなたが毎日弾いてテンションが上がる楽器はどっち?」

 

そんな会話をしながら、二人で弾き比べを続けていくと

 

ヴァイオリンはどんどん音色が変化していく。

 

 

ここが面白いところで、

 

整備されたてのしばらく弾かれていない楽器は

 

弾き込むと音が変わるのです。

 

 

弾き始めはキンキンしていた1920年が丸くなってきて

 

程よい感じに変化してきました。

 

 

そして、両者の音がどんどん音が似てくる。

 

楽器選定あるある。笑。

 

 

不思議なんですが、どんどん寄ってくるんです。

 

本質的なところは変わらないのですけどね。

 

 

1時間ほど弾いて、生徒は1920年を選びました。

 

 

 

  趣味の人ほど、良い楽器を

 

 

これが最後の買い物じゃない、

 

働くようになってお金を貯めて、

 

もっといい楽器を買うこともできるよと話しました。

 

 

趣味の人が高い楽器を買うことを尻込みされることがありますが

 

私は趣味の人ほど、良い楽器を持って欲しいなと思います。 

 

楽器からすればプロに比べて使用頻度が低い趣味の人だと事故にあう確率も低いですし、大事にしてもらえます。

 

楽器は幸せだし、弾く人も良い音で幸せです。

 

 

最近は楽器の値段が高騰しています。

 

一度上がると下がることはないので、

 

今のうちに買ってしまうことがお勧めです。