体操講座の記事を連日UPしていましたが、今月初めに、信州内観研修所にて一週間の集中内観研修を受けてきました。


長野県安曇野市にある信州内観研修所の周りは、紅葉がピークで、とても美しい時期でした。


なぜ、今、この時期に行こうと思ったのか。



いくつか理由があるのですが、大きな動機としてはあるトラブルでした。
詳しくは書けないのですが、なぜこうなってしまったのか理解できず、八方塞になってしまいました。

時間が経つにつれてどんどん悪化し、もうどうにもできないようになってしまった9月、自室の本棚から、ふと取り出した本にを開くと、信州内観研修所を紹介しているページがありました。

その時、直観的に、ここに行くと答えが出る!と感じました。


すぐにパソコンで内観研修についてチェックすると、研修期間は世間との接触を一切絶ち、携帯電話は禁止、新聞雑誌、テレビ、読書も禁止。
さらには楽器練習も、1週間できません。

1週間スケジュールを空けることにもかなり躊躇しましたが、今ここで行かなければならないと、決心して行きました。



初日、仕事のために到着が夜になってしまって、穂高駅まで中野節子先生が車で迎えに来てくださり、

「いい時期に来られましたね。紅葉が美しいですよ。」

にこやかに私を迎えてくださいました。 

車中、音楽家の方が何人も研修に来ているそうで、遠からず存じ上げている方のお名前も出てきて驚きました。

中野先生は、「内観をすると(楽器が)上手くなるそうですよ。」と、にっこり微笑まれました。

さらに、「カウンセリングで3年かかることが、1週間でできます」と!!
(私は先入観を持たないために、内観については深く調べずに参加しました。鬱病、摂食障害、家庭内暴力、依存症など、心因性の病気は改善、または治ってしまうようです。)



内観研修のやることはシンプルで、自分に近い一人一人について、自分の年齢を3~5年に区切り、その期間、その方に、

①お世話になったこと、
②して返した(して差し上げた)こと、
③ご迷惑をかけたこと、


この3つを調べていきます。


およそ1時間の間に、自分の記憶を「調べる」のです。


まずは母に対する0~6歳の自分を調べるのですが、「かわいがってくれました」というような曖昧な物はNG。
あくまでも事実を追い求めます。

ですが、写真に残っている、または後々親や兄弟にこんなことがあったと言われた情報で自分の記憶を補足するのはOKです。

1時間半後に先生の面接があり、その際には、上記3つの順番で5分程度に答えられるように頭の中でまとめます。




まず最初の時間は、母に対する0~6歳の自分を調べました。

①お世話になったこと
お稚児さん祭り(富山地方の子供の祝い)をしていただいたこと

②して返したこと
ありません

③ご迷惑をかけたこと
常に落ち着きがなく、道に飛び出さないように手を握られており、心配をかけていたこと




このような要領で、次の時間は7歳~9歳、その次は10歳~12歳、中学、高校、大学・・・と区切って自分の記憶庫を探していきます。



最初の3日は曖昧模糊とした海をさまよっているのですが、私の場合はやっと5日目からどんどん記憶の感触が濃くなりました。

子供の頃に住んでいた家の畳や木の感触、今の私よりも若い母の記憶が蘇ってくるのです。
私が母だと思っていたことが、姉であることも思い出しました。
上記の③の私の手を握っていたのは、姉でした。


さらには自分にかかった養育費の計算もします。
私は私立音大を出ておりますので、予測していましたが恐ろしい金額になりました。(^_^;)


こうして、両親や兄弟の無償の愛を、ひとつひとつ、記憶の中から拾い集めていきます。


親兄弟からお世話になったこと、迷惑をかけたことは山のように出てきますが、して返したことはほんの少ししか出てきません。


子供の頃は勝手なもので、してもらってないことばかりに目が行きます。
親が自分の思ったように褒めてくれなかったとか、練習をしないで叱られたことなど、大人になっても逆恨みのような感情を持っている人は多いのではないでしょうか。
毎日の食事や、洗濯、身の回りはしてもらって当たり前のように思い、周りの友達がうらやましく見え、自分は何もやってもらってないように思い込みます。


②「して返したこと」、③「ご迷惑をおかけしたこと」、の二つの質問は、とても厳しい問いです。
やってもらってないことばかりを引きずって逆恨みし、被害妄想にとらわれていた自分があらわになってきます。



ただ、ひたすら内観をしていって浮彫になったのは、自己中心的で、依存心が強く、見栄っ張りな自分でした。

・・・まさしく私。

だけれども、そんな私を支えてくれている人がなんと多いことか。



①「お世話になったこと」、は自分がどれだけ愛されてきたかがわかる質問です。
ただただ、感謝です。


私が内観研修を受けようと思ったもう一つの大きな動機は、自己評価を上げたいと常々感じていたからでした。
自己評価が低い教師が、生徒の自己評価を上げられるわけがないと悩んでいました。

理想の自分と本来の自分とのギャップが大きければ大きいほど自己嫌悪になったり、劣等感を持ったり、鬱になったり、神経症になってしまう。
目標とか理想が高いというのは聞こえがいいけれど、これは自分のエゴからでたもの。
さらには、この理想が、現実の自分とのギャップが大きければ大きいほどストレスになります。
だから、私は自信の無い自分をひた隠そうするあまり、見栄っ張りになっていました。

でもきっと、周囲の人には、私が自信がなく、見栄っ張りであることはばれています。
そんな私を、それでいいと、無条件で支えてくれている人が、親兄弟を始め、何人もいるのです。
私を大事な人として、条件抜きで、愛情をもって無条件で許してくれ、「そのままでいいよ!」と言ってくれているのです。

その方々たちのためにも、今の自分を受け入れて、自信を持たないと、その人たちに失礼だと気付きました。


内観研修を受けてわかったのは、自己評価を上げるというのは、そのままの自分を受け入れることに他ならないことを学びました。
これは、自己啓発系、精神世界系の書物には必ずと言っていいほど載っていますが、ようやく腑に落ちました。
同時に、自分はなんと頑固なんだろうとも、気づかされました。


5日目に、やっと、トラブルの原因がわかりました。
なぜ、こうなってしまったのかも。

すべての原因の種は自分が蒔いていました。
大きな気付きを得ました。




内観研修では、私と同じような内観者が5人いました。
原則、雑談などの会話は禁止されているのですが、最終日に座談会がありました。

驚いたのは、うつ病でいらしていた方が2人いたことです。
座談会では、お二人ともにこやかで、とても鬱病に見えませんでした。

お一人はIT関係のお仕事をされ、鬱病となり、2ヶ月休職されているとのことでした。

またもうお一人は、3日目からお見かけするようになったので、私は後から参加されていたのだとばかり思っていましたが、最初の二日間は安定剤を飲まずにいたらその副作用で大変だったそうです。

ところが、4日目を過ぎたあたりから頭がすっきりとしてきたと!!

お二人とも、鬱病が治ってしまったそうです。
カウンセリングで3年かかるものが1週間で結果がでるというのは、こういうことだったのです。

ただ、鬱病の方は内観研修後は躁状態になり、上がった状態からまた反動で落ちるのだそうです。
3カ月以内にもう一度来るように促されていました。
もう一度内観をすると、安定するとのことでした。


このなかに、鬱病でいらした方がお二人います。
皆さん晴れやかなお顔でしょう。
とても1週間前には鬱病であったとは思えません。

私が手を握っているのは、中野先生のお母様(90歳)です。
カワイイおばあちゃまです。



全国に内観研修所は30ヶ所あるそうですが、信州内観研修所を選んでよかったです。

本当にいい時期で、紅葉が美しく、窓から見える森の木立にずいぶんと癒されました。

風が吹けば葉擦れの音が聞こえ、小鳥の鳴き声、窓の外には最高潮の紅葉が見え、トンボが飛び・・・・、蜘蛛が太陽に照らされてキラキラとした糸を垂らして空中を飛んでいく美しい姿も、長い時間、空を流れる雲を眺めました。

こんなに自然を飽きることなく眺めたのは、子供の時以来でした。



もう一つ、大きなことは、お食事がとても美味しかったことです。
一日中、ひたすら自分の記憶を探す内観をしていると、食事が楽しみになります。

中野先生とスタッフの方々がつくってくださる玄米採食のごはんが、とてもとても美味しい!!
野菜中心と、玄米ご飯で、間食しなくてもおなかが空かないというのはすごい。
一週間、規則正しくご飯を3食いただく生活なのに、少し痩せました。
(お食事は、中野節子先生のブログをご覧ください。お写真が載っています。)



中野節子先生と私。
真ん中のハリネズミは薪ストーブです!
優しくふんわりと暖かくなります。



お名前もあるんですよ!
張本忠一君!!(笑)


内観研修の思い出に、研修所内のもみじの葉を頂きました。

ノートに挟んで帰宅しました。
あれから2週間近く経ちますが、まだ鮮やかな赤のままです。




内観研修、思い切って行ってよかったです。
ごはんを作ってもらえて、携帯電話の電源を切って、誰からも邪魔をされず、ただひたすら自分の人生を振り返る、とても贅沢な時間を過ごしました。


きっと、この記事は、内観研修に行こうか迷っている人の目に、留まることがあると思います。
迷っているうちに時間はどんどん過ぎていきます。
どうか、行きたいなと思ったときに行きましょう。
私は、20代前半に経験しておきたかったです。
人生観が豊かになりますよ。


私がこれまでお世話になった方々にお返しできることは、仕事しかないと確信して帰宅しました。
決意を新たに、自分に与えられた仕事をしていきます。



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