温めたミルクよりも温かい
空気のように軽くひらひらと舞う
彼女のキスを待ちわびる喜びを
花たちは知っている
私の小さな蝶々、パノニカ
羽ばたいて舞い上がると
汚れなく太陽のように眩しい
空を抱く風のように身軽だ
優しく陽気な絵の具で塗られた
色とりどりの翼
私の小さな蝶々、パノニカ
可憐に咲く花々と同じように
私ももう長いこと待ちわびている
ただあの感触を味わいたくて
私が愛して止まないあの感触を
ある日彼女が目の前に現れたら
私は両手を広げて迎え入れよう
そしてもう離さない
蝶の羽のように繊細な人
いくら彼らが嘆いたとしても
詩人でさえ彼女のことを
言葉に言い表すことはできないだろう
彼女が繭の世界を飛び出すとき
愛の音楽が奏でられる
私の小さな蝶々、パノニカ
この曲も、もともと詩は無く、
パノニカという、ジャズ史上では必ず名前の出てくる女性の名を冠した曲なので、それに合った内容の詩が後付けされたのですが、
イギリス英語で歌った方がいいのでは?!と思えるほどロマン派っぽい詩ではないでしょうか。
パノニカさんとは、ロスチャイルド家出身のパノニカ・ドゥ・コーニグズウォーターのことで、愛称ニカです。
彼女の名前がついた曲がジャズには沢山あります。なぜなら、大富豪だった彼女はジャズ・ミュージシャンのパトロンだったから。
一族の中でも変わり者扱いされていた自由人ニカさんは、偏見なく黒人ミュージシャンたちと友情を結び、献身的に彼らを支援していました。
パノニカというのは彼女の父親が蝶の種名にちなんでつけた名前なので、それをふまえてこのような歌詞になったのですね。
ちなみに、著作権の関係なのか、
モンクの曲の題名はもちろんPanonnicaなんですが、
歌詞がついたものは、Little Butterflyという題で呼ばれているようです。
さて、
前から書いていることなんですが、
最初は、セロニアス・モンクの曲って聞いてもよくわからなかったんです。
私の知っているピアニストの方は、モンクの曲をライブで演奏したら、よくわからなくてちょっと気持ち悪いってお客さんに言われたこともあるそうです(笑)。
それほどに、エキセントリック、、、。
私は、このように歌詞をつけたものを歌手が歌っているのを聞いてから、モンクの演奏で何度も聞き直しているうちにやっと少しずつ、彼の曲を味わえるようになっていきました。
謎の男の方が惹かれるんでしょうかね(笑)。
ところで、演奏する側の方の中には、
言葉にできないものを音楽にしているんだから、
歌詞は余計だし、いらん‼︎
という方も、ときどきいます。
たしかに、私が言うのもなんですがこれはちょっと合ってないかな、、、
という歌詞もまれにあります、が、
ジャズというのは専門に訓練している耳の良い人には難なくその音が理解できるのでしょうが、
私みたいに後から勉強を始めたような者にはハードルが高くて、聞いてすんなり楽しめる人は少数派だと思うんで、
歌詞をつけたものを歌手が歌うことには、例えば難解な言語の翻訳というような意味合いも、あるのかなぁと思います。
やっぱりいいものはいいし、こういう薬が効く人も世の中にはいると思うので、
私としてはこのようにSAYO訳をときどき載せたりライブで実際歌ったりすることで、紹介できればいいなぁと思っています。
今日も読んで下さり、ありがとうございました!!!また、よろしくお願い申し上げます!!