ビートたけしに宮沢りえに内田裕也!?豪華すぎだろう映画『エロティックな関係』(1994)レビュー | SayGo's 映画レビュー

SayGo's 映画レビュー

勝手に映画鑑賞して
ダラダラとレビューします。

本日鑑賞したのは

内田裕也が製作・脚本・主演を務め、

ビートたけし、宮沢りえという豪華キャストで話題となった

1992年公開のサスペンス映画

『エロティックな関係』

公開日:1992年10月17日

上映時間:95分

 

パリの路地裏に探偵事務所をかまえる探偵のKISHINと秘書RIEの元に

ある日、奥山という男から愛人 ロレーヌの素行調査の依頼が舞い込む。

すぐさま調査に取り掛かったKISHINは

彼女は複数の男性と関係を持っていることを突き止めるのだったが、

事は思いもよらぬ展開になだれ込んでいく。

 



レイモン・マルローの小説「春の自殺者」を元にした

日活ロマンポルノをリメイクする形で製作された本作は

ビートたけしに宮沢りえという豪華キャストに加え、

オールパリロケという何ともバブルな匂いのする一作でした。

 

若松孝二監督作品が少々苦手な自分でしたが、

強烈な癖はほとんどないサスペンス映画となっており、

豪華キャストによる贅沢なサスペンス劇

で興行を狙ったであろうことが明白な作品でした。


 

さて、肝心な本編ですが、

無理ある設定にリアリティはなく

完成させることを最優先にしたのであろう安易な作り

失笑せざるを得ないものでした。

 


反日発言が問題になったというフランス首相のパロディし、

日本と作品そのものそ皮肉って見せるくだらない説明OPはさておき

「パリで日本人が探偵をしている」という設定はもはやギャグな上、

主人公とヒロインをKISHINとRIEなんて

粋でもないネーミングにしてしまう。

個人的にですが、ここまで開始早々にド滑りしている作品ありませんでした(笑)

 

一つリアルがあるとすれば、

KISHINの探偵事務所には依頼が舞い込まない、

という日本人の探偵なんて誰も相手にしていないという描写ですね。

「ダメな探偵」という設定がある分、

まだハードボイルドを期待できたのですが...


 

物語はビートたけし演じる奥山という男の依頼を機に

物語は動き出すのですが、前半は結構ポップでコミカル

その要因は間違えなく、当時の宮沢りえが放つスター性に他なりません。

KISHINを演じる内田裕也のリアクションの薄さも相まってか

宮沢りえは一層際立って、華やかに映し出されていった印象。

KISHINとRIEの掛け合いが面白いというより、

内田裕也がいるからよりカワイイ宮沢りえといった感じですかね。

 


一応にも物語は展開と共に謎を深めていくミステリー性を放ちだします。

調査の対象であったロレーヌと親交を深めていったKISHINは

彼女の男性関係が奥山に強制されていることと

この依頼そのものがロレーヌと関係を持った男性をゆするための

ネタ調達であることを知ります。

 

なかなか展開も遅く、これといった物語もなかったため

この展開は面白く思え、「どうなるの!?」と期待したわけですが、

期待したほうがバカでした

 

ネタバレを一応割けますが、

後半はロレーヌと彼女に惚れたKISHINの逃避行ロマンス劇に陥っていきます。

「2人で逃げるために金が必要よ」というロレーヌの言葉に導かれKISHINは

彼女を助けるため、彼女と逃げるため行動を起こしていくのですが...

 

3度全く同じ展開が繰り返されます!

しかも、ほぼ同じ演出で!

 

一回目はその唐突な惨劇に揺さぶられましたが、2度3度繰り返されると

ただの失笑ものです。

 

その後に全部仕組まれていましたという事の真相が明かされるわけですが、

根本的に物語のキッカケとなった「奥山の仕事依頼」の必要性を揺るがすもので

計画されているようで計画されていないように思えてしまうのが残念。

※途中で計画が変更されたと考えれば、まだ、まだですが...

 

また、クライマックスをのぞいてこの後半。

ほとんど、ビートたけしも宮沢りえも出てきません。

その上、物語も面白くないとなれば、もう画が持たないわけですよ。

 

どうやら、宮沢りえに関しては10日間、

ビートたけしに関しては5日間しか撮影がなかったと

監督が語っているようですね。

 

ただ、やはり内田裕也と見知らぬ外人の

堂々巡り且つグダグダな物語には飽き飽きしない方が無理でしょう。

 


ただ、クライマックスは銃撃戦になだれ込みます!

宮沢りえ も銃を持ち、武装集団と戦っていくわけですね。

映画のために作られたとしか思えない、

リアリティの全くない足場やワインセラーを舞台にした

なかなかに見せ場のない銃撃戦で唯一の救いは

やはり「宮沢りえの銃撃戦」だけでしょうかね。

 

冒頭の射撃訓練シーンを引っ張りだしてのある演出も

全然うまくないし、かっこよくもない!残念ですね。

 

そして、最後でまたビートたけしが登場して

久々の豪華キャストの再会ですよ。

そんなところで会ったら大変でしょ!という

豪華なロケーションでクライマックスが展開され、

事件は奥山の善意・好意が垣間見えて終息するのですが、

これまた全然粋じゃない!「だから?」という疑問でしかありませんでした。

 

「それ本気で粋だと思っているの?」とセンスを疑う

OPと対となる演出で幕を下ろすラストカットはもはや必見です。

 

ただ、この作品「最悪」ではないんですよ!

確かな作品意義を果たしており、間違えなく価値があります。

 

それはあの時、あの瞬間の「宮沢りえ」を収めているという一点です。

 

かなりバカバカしい感想になってしまいますが、

当時の宮沢りえは脅威的に可愛すぎます!

少女の「かわいらしさ」

大人になりつつあるからこその「綺麗さ」の両方を携えている

この宮沢りえは映し出されているだけで、画持ちします。

 

登場シーンが少なく「アイドル映画」としては少々物足りないですが、

彼女のあの時、あの瞬間だからこそ放っていた魅力

確かに収めている本作はそれだけで存在価値があると思います。

 

誇張して言えば、「レオン」(1994)のナタリー・ポートマンですかね。

 



観終わったらいつの間にか

「Santa Fe」ネットで探し始めてました系映画。

 


オススメです。