ラブラドライト。
1770年にカナダのラブラドールのポールアイランドで、モラビア教の宣教師によって発見されました。それで、ラブラドライト。和名は曹灰長石。
長石をカリ長石(アルカリ長石)と斜長石の大きな2つのグループに分けた時、後者に属します。
そして、斜長石のグループは曹長石と灰長石を端成分とする連続固溶体です。
つまり、曹長石の化学組成式はNaAl2Si2O8で、灰長石はCaAl2Si2O8で成分としてはナトリウムとカルシウムが異なり、中間層には両方の成分をいろいろな割合で持つ鉱物が存在するというわけです。
曹長石の略号はAbで灰長石の略号はAn。中間層は割合によって、4つの鉱物に分けられています。
ただし、あくまでも成分的な問題で、きっちりと分けることはできないため、鉱物学者はこの中間層の鉱物には鉱物名ではなく、略語に成分の割合をつけたもので表します。
灰曹長石は Ab90An10~Ab70An30
中性長石は Ab70An30~Ab50An50
曹灰長石は Ab50An50~Ab30An70
亜長石は Ab30An70~Ab10An90
ひとくちに曹灰長石といってもカルシウムとナトリウムが半分づつのものもあれば、3:7のものあるということで、化学組成式では(Na,Ca)Al2Si2O8 と表記します。
ラブラドライトはその閃光で人気があります。ラブラドレッセンスと呼ばれます。
これは研磨したほうが顕著なので、市場に出回っている多くがまん丸く研磨されていますが、実は劈開の断面に現れているラブラドレッセンスも素朴で綺麗です。
そこで今回は一面だけを研磨したものを入荷しました。
研磨されていない部分で、もともとの表情もわかります。
A
一部が強く光ります。角度によっては全体的に青い光が点在しています。
B
小さめな標本ですが、全体的に光が出て、青色、緑色、黄色、金色、オレンジ色とグラデーションでいろいろな色を観ることができます。
研磨していない面でも光を確認できます。
C
大きな面積での光は観られませんが、青い濃い小さな光が点在して、何かのイルミネーションみたいで綺麗です。角度によって、今まであった光が消えて、違う場所が光るといった風。
D
Dは大きさもA~Cを足したより大きいのですがその光も群を抜いてきれいです。
細長いのでうまく割って小さくできないかなとも思ったのですが、せっかくきれいなのでこのまま販売することにします。本当だったら着服レベルなのですが、大き過ぎで、これも断念。
写真でうまく捉えられないのが残念なのですが、研磨していない面に出るラブラドレッセンスが本当にきれいなのです。