森の滴/ヘリオトロープ
9月のドールショウのテーマは妖精の棲む森。
実はステルクララの森のことです。ステルクララの森、およびステルクララについては秋に開催予定のルーチカフェスティバルに合せて、今まで書き散らかしていたエピソードをまとめています。
雨上がりのある秋の日。
ステルクララの森へキノコを採りに行ったわたしは、奥からとてもいい香りがすることに気づきました。香りに引き寄せられるように森の奥へ進むと、上空を覆っていた枝葉がその部分だけ途切れ、ぽっかりと丸い空が見える場処に辿りつきました。森の中には何箇所かこういう場所があるのです。そしてそこには何かしらの花が群生していました。この場所にはヘリオトロープが一面、太陽に向かって咲いていました。
ヘリオトロープは初夏から秋にかけて咲く多年草です。夏の盛りにはあまり香りは強くなく、気温が下がって、風が透明になってくると、甘い香りを放ちます。
キノコのことはすっかり忘れてしまったわたしは、可憐な紫色の花に溜まった朝露を小壜に採って戻りました。
翌日、森の滴は美しい結晶になっていました。顔を近づけると甘い香がしました。
妄想話ですが……
そんな作り話付きの森の滴の標本です。
滴型に研磨された中国産の螢石です。
珈琲染めをした黄ばんだ綿をクッションに、蛍光塗料を塗布したモスを添えました。
光に翳すといろいろな色が見えます。
ヘリオトロープに森の空気を加えた香りも加えています(ムエットに数滴つけたものを底に入れています)。
ドールショウで5つ。その後の妖精の棲む森の一般公開日(cafeSAYA)で5つ、販売予定です。