日本産の高温水晶 | 天氣後報

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今回の鉱物フェアは、気づけば日本産の鉱物が多いような、、、、と、いうわけで、もう一つ、日本産です。



天氣後報-日本産の高温石英


石英と水晶の区別については、石英の中で肉眼で結晶が確認できるものが水晶である、、、、、という定義があります。この結晶は結晶の形がはっきりわかるものもあるのですが、そうでないものもあり。

流通では「高温水晶」というより「高温石英」という名前が一般的なので、ラベルは高温石英としました。


鉱物倶楽部の鉱物手帖01では元素配列図を掲載していますが、あれは高温水晶のものです。

石英は1気圧、573℃で三方晶系の低温型石英から六方晶系の高温型石英に転移し、さらに高温では、鱗珪石に相転移します。

高温水晶の結晶の形は、ちょうど両錐水晶の柱面がない形で、ソロバン珠型と呼ばれます。

低温水晶と高温水晶は、ちょうど石墨とダイアモンドのような「多形(ポリモルフ)」の関係です。化学組成は同じなのに原子配列が異なるもののことです。

石墨とダイアモンドは硬さも見た目も、そして価格も全くことなりますが、水晶の場合は、一応、水晶(石英)です。

高温水晶と低温水晶は生まれた時の温度で決まります。

ただし、高温水晶が573℃以下になれば結晶構造は瞬時に低温型に変化します。

同様に低温水晶を573℃まで熱すれば、結晶構造は瞬時に高温水晶に変化します。


ここで、一つ、気になることがありませんか?


そう。当たり前ですが、この写真を撮影している室温は26度くらいです。

ならば、これは低温水晶なんじゃないの?

そんな疑問が出そうです。


実は、この水晶の結晶構造は低温水晶に変化しています。

ただ、外形は、できたときのもののままなんです。

それで、厳密にいうと、これは  高温型水晶 、、、、、というのが正解かもしれません。

流通している高温水晶は冷める時に内部にひびが入ることが多いので、透明度の高いものがあまりありません。高温のままの高温水晶を見ることができたら、きっとハーキマーのようにキラキラしているかもしれません。



細かい粒なのでミニチュア試験管入りに仕立てます。



天氣後報-日本産の高温石英