櫻石 | 天氣後報

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天氣後報-櫻石/きらら舎

櫻色とはいえませんが、紅色を帯びた櫻石の結晶です。


櫻石は菫青石の仮晶であることは、販売されている標本のラベルなどにも書かれているので、ご存知の方も多いかと思います。

菫青石といえば、透明感のある菫色をした鉱物が思い浮かびます。あれがどうしてこんな形・色になったのだろうと不思議です。

実は櫻石のモトは六角柱状をした菫青石の結晶(透入三連双晶)です。

ちょうどこの写真の櫻石をにょっきり伸ばしたような形を想像してください。


砂岩や泥岩といった堆積岩にマグマの塊が入り込みます。そうすると、土を焼いて焼き物を作るしくみで、マグマに触れた堆積岩が焼かれます。この焼かれた部分を接触変成岩となります。鉱物学ではホルンフェルス(hornfels)という場合が多いです。ホルンフェルスとはドイツ語のHorn(角)とFelsen(崖・岩石)の合成語で、粘土をやくと硬い焼き物ができるように、焼かれた堆積岩が硬くなった状態から造られたのだと思います。


堆積岩でも特に泥岩を原岩とする泥質ホルンフェルス内のアルミニウムなどがこうした熱変成で菫青石になりました(菫青石の化学組成式は (Mg,Fe)2Al4Si5O18)。


写真の京都亀岡市の櫻石は昔、菫青石だったものが長い時間の中で雲母や緑泥石の微粒集合体(ピナイト)に変化したものです。

櫻石といっても、もともとが菫青石の結晶が3つ、120度の確度で互いに交叉した貫入双晶なのでベースは六角柱(擬六方結晶)なので、花びらは6枚ということになりますので、櫻じゃないんですが。



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