今回入荷した2点はいずれも双晶です。
中国湖南省張家界市産。湖南省は昔、辰州と呼ばれていて、ここで美しい標本がたくさん産出したため辰砂という名称となりました。
別名に「丹砂」「朱砂」などがあり、日本では古くは「丹」と呼ばれ、顔料(朱色)や漢方藥として使われていました。成分による化学組成で呼べば赤色硫化水銀となります。
辰砂は空気中で 400~600 ℃ に加熱すると、水銀蒸気と亜硫酸ガスを発生し、この水銀蒸気を冷却凝縮して水銀を精製します。
漢方藥としては中国で現在でも使われているそうで、硫化水銀なんて猛毒っぽいイメージで、大丈夫なのかなあと思ったりしますが、水に溶けにくい硫化水銀は毒性が低いそうです。
また、辰砂は賢者の石としても錬金術の歴史の中では重要で、これについては過去の記事でちょっと紹介したので、今回は割愛します。
http://ameblo.jp/sayanet/entry-10181891614.html
A
これは大きめな結晶がぽつんとある標本。双晶もよくわかります。
写真には撮っていませんが、裏面にも少し結晶が現れています。
B
これはたくさんの結晶が見られます。