愛しい鉱物 | 天氣後報

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アルチニー石 幼い頃、初夏の露店のアセチレンランプの下で蛍石と出会いました。その後、宝石よりも博物館の売店で売っているような鉱物が好きで、小学校や移動図書館(わたしが小学校の頃は、小さな空色のバスの移動図書館が毎週水曜日に近所の公園にやってきました)で見た、「図鑑に載れるような鉱物」にずっと憧れていました。


その中で、出逢いたかったものがオーケン石。石なのにふわふわだというこjの石に触ってみたいなと思っていました。

図鑑でみたオーケン石は崖の岩の中にうさぎの尻尾のような結晶が身を寄せ合っているようなもの。大人になってからちょうど、その図にそっくりな状態のものに出会い、この願いは叶えられました。

その系統(ふわふわっぽい)で会いたかった石がアルチニー石というもの。

近所におじいさんとおばあさんがやっている飲み屋さんがあり、そこで「ケサランパサラン」だというものを特別に見せていただいたことがあります。ちょうど大きなたんぽぽの種子のような形状。真ん中に核があり、足のような毛のような、シャンパンゴールドの数本の細いものが優雅に蠢いていました。アルチニー石はなんとなくそういう正体不明の生き物に似ています。

その後、偶然有機生命体のようなアルチニー石と出会いました。それはケサランパサランとよりもっとふわふわっぽく、ちょうどペルシャ猫の毛をすいて、石の上に敷き詰めたような「見た目」でした。所有者の方と、これは「持ってます」というより「飼っています」といいたくなるような石ですね、と話をしました。


今日、ペルシャ猫毛とは全く違いますが、銀色に輝く星状の毛を持つアルチニー石に出会いました。「毛」は思っていた(オーケン石のような)触感とはまったく違っていて、硬く、つやつやとした結晶。それでも、小さな銀色の生き物(のような結晶)は上等なロシアンブルーのように気品のある毛並みで、白い母岩にぽつんとひっついているのでした。こうして、愛しい石は増えていきます。


写真の左上のフジツボみたいなのが一瞬、猫の毛並みのように見えます。