
『空中線ラジオ』
エアーヴァリコン使用。内部の配線は銅線を使用。
通常の鉱石ラジオはポリヴァリコンを使用して作ります。しかし、制作者のKentStudioのKENTさんが、シャフトを回すと何層にもなっている羽(ローター)が動く様や、絶縁体に空気を利用するというところが気に入っているそうで、Kentさんの鉱石ラジオにはしばしばエアーヴァリコンが使われるのです。
ただ、
「これはエアヴァリを使ってるんだよ」
と自慢しても、ラジオの内部に入ってしまっていると見せることができません。
そこで、透明ボックスの鉱石ラジオが生まれました。
Kentさんの作る鉱石ラジオには、よくあるあの大きなアンテナはありません。発想の転換で、ふと空を見上げた時、いつもは流れる雲を見るのに目障りな電線が黄金のアンテナに見えたのだそうです。
東京の狭い街を縦横無尽に巡る電線。
電信柱でリレーされながらグルグルと街を走っています。
この全てが大きなアンテナなのです。
そして、そこを走る電波と人間との接点がコンセント。
ここに電気を通さないようにセラミックコンデンサーを埋め込んだ片足のソケットを差し込み、大きなアンテナと小さなラジオをつなぎます。
ゲルマニウムダイオードと鉱石を小さなカプセルに詰め、着脱式で回路をスイッチできるようにして、透明ボックスの中には銅線で立体配線された『空中線』ラジオ。
小さな箱の中で呼吸をするように動くエアーヴァリコンが、止まった時、
交差する銅線と銅線の間をすり抜けた、地球外からの電波が一瞬、見えたような気がしました。
このミニ展示会のレポートはcafeSAYAのWEBサイトに近日中にアップします。