パワハラの想い出 | 狭山与太郎のどですかでん

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現在斎藤兵庫県知事のパワハラ疑惑が話題になっています。

今でこそパワハラとかセクハラが世間では問題視されていますが、私がまだ若かりし頃はこんな言葉すら存在せず、職場ではパワハラ セクハラはごく普通の当たり前のこととして横行していました。

「モーレツ」なんて言葉がもてはやされていた時代で、むしろ企業ではパワハラが推奨されるような雰囲気が充満していました。。

当時「地獄の特訓」と称した管理者養成合宿や社員研修やセミナーが流行った時期でもあり、過酷な「特訓」に耐えかねて脱落した人も数多くいたと聞いています。

その頃日本航空の新入社員は自衛隊に体験入隊させられていました。

管理者養成学校 | 学校概要 | 通称【地獄の訓練】合宿型社員教育・社員研修 (hell-camp.com)

 

入社した時の部長は人格的にも穏やかでいかにも紳士という雰囲気を漂わせていましたが、彼は会社の最も効率のいい理想的な組織運営は軍隊であるという持論を度々吹聴していました。

「理想的な軍隊」はどのようなものか私にはよくわかりませんが上司の命令に対し絶対服従することを良しとしたのでしょうか。

やがてその部長は昇進して居なくなりましたが、その後任に配された部長はまさしくパワハラのかたまりのような人物でした。

多読家であることを自ら自慢していましたが、毎週休みの日は図書館からたくさんのビジネス書を借りて来て読破し、週明けから早速マネージャーを集めては2時間ほど受け売りの「レクチャー」をするのが定例でした。

何処かの本に書いてあったのか英語に精通しているわけでもないのに聞き慣れないビジネス用英単語を使うのもお得意でした。

そうして退社時間の頃にレクチャーが始まるとその日は大体管理職の皆さんはそのまま徹夜でレクチャーを受けるのです。

朝出勤すると昨日の退社時の配置そのままで部長のレクチャーを受けているという具合でした。

大体は同じ話を何度も何度も繰り返すだけで自分の言葉に酔いしれていたようです。

部員に対しては「家でできることは家でやれ」すなわち24時間仕事をしろということで技術者に対し毎週特許出願用紙を最低1件提出するというノルマが課せられました。勿論会社で書くことはご法度です。

提出しないとペナルティーが科せられるわけでもないのでそのうち誰も出さなくなりました。

そもそも無理矢理考えた特許のための特許なんて出願経費が掛かるだけで何の意味もなかったのです。

日程の短縮化が図られ残業時間が増えると「残業時間割当制」なるものを実施し、各部員の残業時間を定めそれをオーバーした場合は全てサービス残業となりました。

労働組合はこの実態を知ってはいましたが健康管理を義務付けるだけで何の役目も果たしませんでした。

ちょっとでも文句を言ったり批判しようものなら即座に移動を命じられ翌日にはもう机が無いといったことが度々発生しました。。

 

居室の真ん中ににソファを置いて日中管理職連中を集めては頻繁に会議を行っていました。

横目でその会議を時々見ていましたが、会議の途中で唐突に誰かに質問するという光景を度々目撃しました。

そして意表を突かれ答えに窮すると居室中に響き渡るような大声を張り上げて「そんなことも知らないで課長をやっているのか!」と罵倒し、全部員がいる居室で見せしめのようにつるし上げを行うのです。

この管理手法は当時GMの会長だったアイア・コッカの著作に書かれていたようです。知らんけど

課長連中は次第に委縮して部長に対し絶対服従するようになり、その部長の前に出ると手が震え、蛇に睨まれた蛙のようになってしまう人もいました。

今考えればまさしくパワハラ以外の何者でもないのですが、その当時はそれが異常な事とはあまり感じず、私も含めて皆さん会社で生きることの厳しさとして受け取っていたのです。

その様子をいやというほど見せつけられている他の管理職連中は自分がこのような目にあったら大変だと感じ、ご機嫌伺いに余念がありません。

要するに独裁者として君臨するこの部長に対し睨まれないように徹底的にゴマをするのです。

この部長は一時も手から煙草を離さないというヘビースモーカーでしたが、今までタバコを吸ったこともない管理職連中がみんなタバコを吸うようになりました。

この部長は人の好き嫌いがはっきりしていて、自分とそりが合わない課長に対しては徹底的に虐めるのです。

そうして情けないことにはこの虐められている課長に対し、フォローしたり連帯感を表したりする人はだれもいません。

それどころかこの課長に対し馬鹿にしたような態度を取ったりする人まで現れる始末です。

 

やがてこの部長の横暴ぶりは社長の耳にも入ることとなり、新年の挨拶にしか姿を見せない社長がある日突然やってきてこの部長を解任。

この部長は個室に監禁状態にされ、トイレ以外は部屋を出ることを禁じられたのです。

その数年後に彼は解雇されました。

即座に解雇されなかったのは会社に対しての背信行為をしたわけではないということなのでしょう。

 

現在でも相変わらず多くの企業の至る所でこのようなパワハラは横行しているのではないでしょうか。

犯罪行為に結びつかない限り表面化することは殆どありません。

今回の兵庫県知事の問題は自死した人が二人もいたからで、心当たりのある人たちは兵庫県に限らずそこかしこたくさんいるのではないでしょうか。

電通の女子社員がパワハラに耐えかねて自死したのはそんなに昔の話ではありません。

 

結局人間はよっぽど自制心のある人格者でもない限り一旦権力を手にし、法の規制や社会や上からのお咎めや制裁がない限り歯止めなくパワハラをするようです。その行き着く先はヒトラーということになるのでしょう。

自衛隊や企業だけではなく地方の自治体や政治屋の社会でも同じことが行われているということが今回明らかになったに過ぎません。

 

後任として部長になった人は散散いじめられた中の一人でしたが、部長になると今度は今までのうっ憤を晴らすかのように前の部長と同じように特定の部下を標的に虐める姿には唖然としました。

人間は立場が変わると善悪の判断基準が変わるようです。

そして新しい部長はタバコを吸わずしょっちゅうガムを噛んでいましたが、今までタバコを吸っていた管理職連中は新しい部長になった途端みんな一斉にガムを噛むようになったのです。

 

こんな姿を見てつくづくサラリーマンが嫌になってしまいましたが、結局そのまま定年まで勤めてしまいました。

パワハラはサラリーマンの世界だけではありませんものね。

人間が複数集まり上下関係が出来ればパワハラは避けて通れない人間特有な現象のようです。

子どもの虐待と同じで加害者側はそれがパワハラであるということを認識することは非常に難しいようです。