祖母の家に遊びに行った。




庭の奥に掘っ建て小屋の流し台がある。
山の水から引いている水道は、一年中出しっ放しだ。夏でも冷たい。


流し台がある掘っ建て小屋を抜けると
小さな小川が流れる裏庭がある。


昔よく祖母の家に泊まった。夜辺りが静かになり、布団のなかで耳をすますと小川の音が眠気を誘ってくれた。




もうすぐ5月だというのに昨日は肌寒かった。父がストーブを焚いて母と出迎えてくれた。




祖母はもすぐ100歳。私のことも忘れてしまって、1日のほとんどをベッドで過ごしているが、歩けるし、ご飯もしっかり食べられる。


祖母の家は山の谷間にあり、家は、父もいつ建てられたのかわからないくらい古い家である。

二階は急な階段で今は使われていない。

久しぶりに2階へ上がってみた。


断熱材もない。障子を開けるとすぐ外気だった。
2階は物置となっている。昔はいろんな古い物が置いてあり、博物館のようで好きだった。
暗くて見にくいが、立派な梁が家を支えている。



一階の天井


電気はむき出しの配線が張り巡らせている。


古いタンス



引き出しの持ち手がないのは戦争中、鉄砲を作ったり、戦車を造ったり、鉄が足りず家中の鉄を回収されたから、と幼い頃祖母から聞いたことがある。

祖母は父と、母が住む町で冬だけ同居していたのだが、知り合いもおらず、祖母は長年住み慣れた家に帰りたがった。
寒くて、古くて、段差が多い家だったが、祖母が愛した家は美しい。

そんな祖母の願いを叶えるため、父が完全単身赴任介護を始めたのが5年ほど前だった。

父も祖母と故郷に帰り小さな畑と、山と、家具作りに勤しんだ。父は介護しているつもりはないと、趣味と祖母との同居を続けた。

母は、自由気ままな一人暮らしと、時々父の故郷へ通い妻をしていた。リタイヤした二人には丁度いい距離感だったと思う。とても仲が良く見えた。

つづく↓