夫のお父さんが亡くなった
こんなときだから、今だけ、自慢させて欲しい
とってもかっこいいお父さんだったから
まだ夫と結婚する前、家族も紹介されていないころ夫は自分の父親のことを「見た目はハリソン・フォード」と言っていた
純和風顔の夫を見ながら、わたしは心の中で「そんなことある!?」と思っていた
でも、結婚が決まって、いざお父さんにお会いしたら「そんなこと、あったな…」と納得してしまった
身長180センチ
高い鼻とくっきりとした二重の目
ほんとに、ハリウッドスターみたいだった
音楽を愛し、油絵をたしなみ、新聞に投稿したり、一眼レフのカメラで孫の写真を撮って…とっても多趣味な人だった
わたしと夫の結婚式では自慢の喉を披露してくれた
スポットライトを浴びて、響くバリトンの声がいまも耳に残っている
長く教員をやっていて、狭い街だから教え子だったという人に会うこともしばしば
時代が時代だったから、「タバコ見つかって謹慎にされたわ」とか「部活で一緒に全国大会まで行って…」とかエピソードに事欠かなかった
厳しい先生だったらしいし、息子である夫は厳しく躾けられたらしいけど、嫁のわたしにはいつも優しかった
結婚の両家顔合わせのとき「私は若い人の味方だからね。応援しているよ。」と言ってくれた
新婚生活をスタートさせたアパートにわざわざ自転車で1人で来てくれて、素敵な写真を撮ってくれた
お別れは寂しくて悲しくて、家族みんなで泣いた
でも、ありがとう お父さん
ほんとうにありがとう