『かな墨場必携 和歌を書く』(日本習字普及協会)より選句、習字
(新古今和歌集)小侍従
待つ宵にふけ行く鐘のこゑきけばあかぬ別れの鳥は物かは
待つ宵に夜の更けゆく鐘の音を聞けば朝を告げる鳥の声など物の数ではない
If I hear the sound of the temple bell ,of that signals when the night is going up, it's not a big deal such as the voice of a bird telling the morning.
ウイキペディアによれば、皇太后多子の「恋人の訪れを待つ夕べと、逢瀬を終えた恋人が帰る朝では、 どちらが切ないか」という質問に、小侍従が答えた歌。
Empress's question:
Evening waiting for lover's visit, or morning when lover returns after sleeping togather,which is more painful.
この名歌で、小侍従は、「待つ宵の小侍従」とあだ名されるようになったという。
歌が作られた場所は、清盛の福原遷都により、がらがらになった京都。小侍従は、その頃、太皇太后藤原多子の女房として出仕していた。小侍従の年齢は50歳を過ぎたあたりであったらしい。
その後、長く病に臥せる小侍従のもとに、西行が見舞いに訪れた。小侍従の病は回復し、80歳過ぎまで生きて長寿を全うしている。西行の方が先に亡くなり、小侍従は、追悼の歌を亡き西行に贈った。
小侍従
ちらぬまはいざこのもとに旅寝して花になれにし身とも偲ばむ
While you are alive, you will be sleeping under a cherry tree,and now I think of you who love flowers.
ご存命中の間は、桜咲く木の下で旅寝され、今は、花を愛された西行さまを偲ぶものです。
西行
願はくは花の下にて春死なむそのきさらぎの望月のころ
Hopefully,I want to die in the spring under a cherry tree,in february,at the time of the full moon.