続・初老オヤジの願いごと | ノベルの森/アメブロ

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オリジナル小説、今はSF小説がメインです。今日からは「多次元文章世界」と題して、ノンフィクション(ショート・ショート含む)とエッセイを展開していきますのでどうぞ応援してください。

 


         続・初老オヤジの願いごと 
(これが後編になるのか、続くのか、答えは風に吹かれて・・・)




目蓋が開いた。天井・・・照明・・・?
上半身を起こす・・・シミがない。去年の台風の大雨で出来たシミがない。
たしか、あの隅っこに・・・ないな。

ガチャ、ドアノブが回る。
もう少し寝かせてくれという意思を伝えるために寝返りをうつ。

「あなた、もう起きて。朝ごはん食べてくれないと。また『朝めし抜きで腹減ったから』とか言って途中でコンビニに寄り道なんて不経済ですから」

「うるさいなあ・・・まだ犯してもない罪で常習犯扱いしないでくれる、朝っぱらから」
「あら、充分に常習犯だと思うけど」

え、・・・今日は珍しくスカート?最近はずっとジーンズだったのに?おまけに丈が・・・


「ちょっとスカートの丈、短いんじゃないの?」
 

寝室を出ようとした君子が振り返る。
 

「なに言ってんの、いつもと同じじゃない。早く顔洗って本格的に目覚めなさい」
 

「若い・・・え、若い」

 

君子の顔が赤らんだ。
「なに言ってるの朝っぱらから!バカ・・・」

あ、そうだった。我ら夫婦のマル秘の合言葉は「若い×2」だったのだ。

 

「ちょっとおいで・・・」
「なに言ってんの!いい加減に・・・」
「そうじゃない、そうじゃないんだ。ただ昨日の『夜の訪問者』が夢だったのか、そうでなかったのか確かめるだけだから」

 

「あなた、今日危ない人みたいよ・・・」
 

「いいから、これは命令だ!」

 

途端に大人しくなる。
結婚するまで彼女は婦警だったからか、命令口調に弱いのだ。交際を初めてすぐにこの事に気づいた俺は、彼女のこの習性を利用したものだった。
(俺って異常?)

やっぱり、おかしい若すぎる。目尻のしわもないし・・・。

「ちょっとこっち、鏡見てみ」

そう言いながら、彼女の腕を引いて姿見ドレッサーの前に並ぶ。

鏡に映るふたりの姿・・・「エーッ!!」素っ頓狂な声を長々と発したのは
俺の方だった!

「若い!俺も若い、若すぎる!」

(あの、マジシャンを超えたマジシャンめ!だれが俺たちを若返らせてくれって言ったよ!子供たちだろうが!役に立たねえ・・・いや、待てよ。これはこれで、すごいことではあるか・・・ )

 

君子は元ミス警視庁だったほどでプロポーションは良い。
 

あの頃とあまり変わらない君子を振り返ってみて、あのマジシャン、結構気が利く奴かも・・・そう思った時。

 

『ご主人様、まあ落ち着いて下さい。私はあの後、どんなシチュエーションがベターなのか考えてみたのです』
 

「あれ、昨夜の超マジシャン?」
 

『そうです。あ、おはようございます。子供さん達だけが若返るのでは、問題があると思ったのです。子供さん達の方が怖がるかも・・でしょ?』
 

「あ、なるほどね」
 

『はい、それでご家族全員で若返ってもらって、つまり時空の歪の中に24時間の特別な時空帯を設けてそこにご主人様をお連れしたと言うわけです』
 

「じゃあ、あと24時間はこの状態が続くと・・・」
 

『そうで御座います。そして次の朝には元通り、50歳のご主人様と48歳の奥様との2人暮らしが再開されます。これはご主人様がご存命中に限り、毎年この日に訪れる私からの恩返しで御座います』
 

「なんだか、凄いことになっちゃって・・・ここまでしてもらって、申し訳けないね」
 

『いえいえ、私はかけがえのない命を救って頂きました。このくらいはお礼を言って頂く程の事ではありません・・あ、別の宝物がおいでですよ』

 

 

 

「パパー!」







こんなこといいな、出来たらいいな・・・♪


 そうお思いになりませんか?子育て終えて、何故か寂しいと

お感じのパパ、ママ。

 

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