ある夏の日に Hope-8 lesson | ノベルの森/アメブロ

ノベルの森/アメブロ

オリジナル小説、今はSF小説がメインです。今日からは「多次元文章世界」と題して、ノンフィクション(ショート・ショート含む)とエッセイを展開していきますのでどうぞ応援してください。




チャーリーは、「lessonしていて、もしも大きな変化が起きる
ようなことがあれば、夜中でもかまわないから電話をするんだ
よ」
目を細めてそう言った。

背中を押しつつも、2人の不安を軽くしてやろうとの心配りが、
その声に含まれて伝わり、肩から余計な力が抜けていく。
ヨーコたちは心からの感謝を伝えてチャーリーのジャズハウス
を後にした。

1週間も頑張れば松果体も目覚めてくれるさ・・・
歩きながら、そんなユルイ考えが勇一の中で頭をもたげた。
気の置けない相手には言わなくていいことまで喋る勇一だが、ヨーコ
には絶対話さない、いや話せないのだ。万が一話してしまえば・・・

『そんな風に調子にのってると、上達するどころか〇〇〇〇〇よ!』
などと、想像したくもないような全面否定隔絶語を浴びせられる事が
目に見えているからだ。

離したくない女の前だと男は、後輩には絶対見せられない弱みを見せ
る。「そんなもんですよ」と銭湯で背中を流してくれた危ないお兄さ
んたちも苦笑いしながら告白してくれてたな・・・

勇一が脇腹に痛みを感じて立ち止まる!ヨーコの肘が下がるのが見え
た。(その肘をくれたわけか・・・)
軽く舌打ちして顔を上げると、左に京王線笹塚駅が見えた。
ヨーコに腕を引かれて道の端に寄る

「あたし達、自主トレの間は一緒にいない方がいいと思うからさぁ」
「自主トレ?」
「もう、松果体の能力高める特訓に決まってるでしょ!」
「お、おう分かってるさ、そんな事くらい」

上目遣いだったのを元に戻したヨーコが、子供に言い聞かせる口調で
言う。

「ま、いいわ。あたしは此処から自分の部屋に帰るけど、勇一には別
の部屋を用意したから暫くはそこを使って、千歳烏山駅北口を中央道
に向かって・・・」

住所とかは後でメールするからと背中を向けて歩き始めるが、勇一の
「いつの間にそんな事に」の疑問に答える
「さっき、チャーリーのお店で勇一がトイレに行ってる間によ」
頷いた勇一が
「着替えとかをヨーコの部屋まで取りに行かないと」と言い、
「そっか、そうだったね」とようやく笑みを浮かべてヨーコが言い、

勇一が追いつくと再び歩き始めるが、唐突に強い力で引き戻され勇一
の身体にぶつかった。
どうしたの?とヨーコが問う前に、ガシャガシャっ!と大きな音がし
て、2人の前方の歩道上に何かが落下した。勇一が引き戻さなければ
ヨーコは確実に重傷を負っていただろう。

さすがにヨーコも衝撃を受けて混乱し、勇一の胸に縋りつく。

「タイルだ」と勇一が上を向いて指さすビルの壁面には、明らかにタ
イルの剥がれた痕跡が見て取れた。

物音に反応して1階店舗から飛び出してきた人に、俺たちは大丈夫だ
からビルのオーナーに連絡しといてと言いおき、まだ震えの収まらな
いヨーコの肩を抱くように勇一が歩き始める。

「有難う勇一、さっきのあれ、落ちてくるタイルが見えたの?」
「いや、それじゃあ間に合わない」
ヨーコの目が大きく見開かれた!
「それってもしかして、もう第3の目が働き始めたってことなの!?」
「いや、今みたいな事なら昔から、子供の頃から何度かあったんだ」

ヨーコが勇一を見上げて言う
「今夜はその話を聞かせてもらう事にするべきだと思う」
「ああ、第3の目の働きと大きな関係があるのは間違いなさそうだか
らな」

ヨーコの髪が大きく揺れて、頷いているのがわかった。










今日の好きな曲は、イーグルスで「Take It Easy」です。
coto.pops musicさん、Upして頂き感謝です🎶






いつも応援ポチを有難うございます。
今回もよろしくお願いします♪