この「連載プレイバック」は

1982年7月8日から1989年9月28日まで

雑誌「スコラ」に掲載された

笑人間を加筆訂正したものです。

 

 

 

本日は1986年7月24日 笑人間

「伊奈かっぺい」(#56)後編です。

 

 

 

テーマ:伊奈かっぺいさんの芸はまさにカルチャーショック

 

 

 

(本文)

 そんな伊奈かっぺいさんを『花王名人劇場』で

世の中へ出してしまったことは、大切に青森の宝として、

愛し、いつくしみ、たのしんでいた人たちにとっては

不愉快なことだったかもしれないという反省もある。

 

 

 

しかし、こんなに大勢の人をたのしませる人がいつまでも

津軽だけの人間であってはいけない、東北だけの人であっては

いけないと思うのは、今世紀最大のマスメディア、

テレビに育てられた私にとっての必然というか、

業(ごう・ルビ)みたいなものだから、

あとはいかに大切に伊奈かっぺいさんとつきあっていくしかないと覚悟はしている。

 

 

 

だが笑いは大阪が本場という定説を、

もし津軽にもこんな笑いがあるということで

少しでも変えることができれば、

大阪の笑いで育てられた私としては複雑な思いもあるが、

笑いを生涯のテーマにしている

私(※澤田隆治)としてはこれはこれでたのしいことでは

ないかと思っているのだ。

 

 

 

 

おわり

澤田隆治