澤田事務所管理人が更新します。

 

 

この「連載プレイバック」は

1982年7月8日から1989年9月28日まで

雑誌「スコラ」に掲載された

笑人間を加筆訂正したものです。

 

 

 

本日は1986年7月24日 笑人間

「伊奈かっぺい」(#56)前編です。

 

 

テーマ:伊奈かっぺいさんの芸はまさにカルチャーショック

 

 

(本文)

伊奈かっぺい、もちろん本名ではない。

本人は偽名だといっている。

 

 

 

 一夜でこのふざけた芸名が全国に知れわたった、というのも

決してオーバーな表現ではないぐらい強烈な印象を与えた

新しいテレビタレントの誕生であった。

 

 

 

それもこれも4月27日に放送した

『花王名人劇場・吉幾三爆笑ライブ・俺は田舎のエンターティナー』の

視聴率が17.4%もあったからなのだ。

 

 

 

吉幾三さんはパロディソングの

傑作「俺、東京さ行ぐだ」の大ヒットを

とばしての出演だから、いくらおもしろくたって強烈の印象が

残るというわけにはいかないが、何の予備知識もなしに

伊奈かっぺいさんの芸に遭遇した人の驚ろきは、

まさにカルチャーショックと表現した方がいいだろう。

 

 

 

「伊奈かっぺいってどんな人ですか」と放送後、

会う人ごとにきかれたことがその驚きの強烈さを示している。

 

 

 

不幸にも見ていなかった人はその理由を

クドクドと述べながら放送の同録テープを

借りにきたものだ。

 

 

こんなことはあの漫才ブームの時以来のことであった。

 

 

手ごたえあり、私(※澤田隆治)は

すぐ次の出番をいつにしようかと考えた。

 

 

 

『花王名人劇場』は毎回企画も出演者もかえているので、

こういう時に連続ドラマで売り出すように使いまくるというわけにはいかない。

 

 

 

印象の消えていない3ヶ月以内に第2弾をというわけで、

この東北の詩人伊奈かっぺいさんの出番を

「さだまさしとゆかいな仲間」にきめた。

 

 

 

さだまさしさんに「伊奈かっぺいさんて知ってますか」とたずねたら

「知ってます、青森のおもしろい人でしょう

“消しゴムで書いた落書き”って本、読みました」。

 

 

さすがである。

 

 

初顔合わせを『花王名人劇場』で実現できるのが

どんなにプロデューサーとしてたのしいことか。

 

 

いっぺんにうれしくなってしまった。

 

 

 

「一緒にシティボーイズにも出てもらって、

イナカッペイとシティボーイズおもしろいですね、いいですね」

すっかり盛り上がってしまったのだ。

 

 

 

つづく

澤田隆治