澤田事務所管理人が更新します。

 

 

 

この「連載プレイバック」は

1982年7月8日から1989年9月28日まで

雑誌「スコラ」に掲載された

笑人間を加筆訂正したものです。

 

 

 

本日は1986年3月27日 笑人間

「パワーズ」(#52)前編です。

 

 

テーマ: ある日、突然・・・・・・おもしろくなったパワーズ

 

 

(本文)

笑いの世界から、なかなか新しいスターが誕生しにくいのは

笑いを創造するむつかしさを考えると、

やむをえないことだと思うし、まして世の中が笑いの

新しいスターを待望していない

時期になってしまうと、もうどうしようもないのだ。

 

 

 

今がまさにこの時期で、

こんな時はバタバタしてみてもどうにもならないと

長い間この仕事をやっているので判っているつもりだが、

それでもついバタバタ動きまわって、

結局どうにもならなくてがっかりしてしまうのだ。

 

 

 

それでも『花王名人大賞』の新人賞候補を

毎年つくり出さなければいけないという任務が

私(※澤田隆治)には課せられているから、

お笑いタレントの新人さがしだけはあきらめない。

 

 

 

ただ、みつけ出してきた新人が

スターになるかどうかは時勢に

のれるかどうかにかかっていて、

新人のスターづくりでは

かなり実績のある私(※澤田隆治)でも

どうしようもないのだ。

 

 

 

 歌の世界だって、演歌が盛んな時には

次々と演歌の新人が登場し、

スターの座へかけ登るが、

ひとたび演歌がダメになると、

かなりの年月はどんなうまい歌手が

現われようがヒット曲に恵まれないことになってしまう。

 

 

 

 しかし、よくしたもので演歌の歌手には

“苦節十年”という惹句がよく似合うから

なんとか十年たってからでもチャンスはあるが、

十年もそんな時代にはまりこんだ

歌手はたまったものではないだろう。

 

 

 

 笑いの世界では、売れた時が新人で、

年期よりもなによりもおもしろいことが第一、

努力しなくてもおかしい方が

苦節十年といっているよりも大事にされるのだ。

 

 

 

なぜなら、おもしろさとかおかしさというのは、

突然やってくるもので、努力したから

おもしろくなるというものではないからだ。

 

 

 

つづく

澤田隆治