※澤田事務所管理人より更新させて頂きます。
この「連載プレイバック」は
1982年7月8日から1989年9月28日まで
雑誌「スコラ」に掲載された
笑人間を加筆訂正したものです。
本日は1983年10月27日
笑人間「三遊亭円楽・立川談志」(#23)後編です。
テーマ:体も大きく、芸風も大きく
(本文)
落語界をゆるがすような分裂騒動のあと、
思いもかけない円生師匠の死に直面して、
突然「すみれ会」のリーダーとなってからは、
その責任からだろう、本当の貫祿がつき、
芸風も一段とスケールが大きくなった。
今、大きな身体をいかした大らかな「円楽爆笑落語」と、
現代の家庭問題を人情噺の世界におきかえて
笑いと涙で解決していくという「円楽涙の落語」の
二つの世界の確立を目指して着実な歩みを続けている
三遊亭円楽師匠に、新しい時代劇をつくるように、
古典落語のニオイを残しながら内容を
今の人に共感のもてるものにかえるという作業を
「花王名人劇場」でやりませんかと提案したら、
目を輝かせて「それをやらなきゃ落語はダメになってしまいます」と
あの大きな身体をのり出し熱っぽく語ってくれた。
この身体にこのエネルギーならやってくれるに違いないとうれしかった。
名人円生をこえる名人円楽の誕生は
新しい円楽落語の完成を共に実現するに違いない。
そして、その日は近いのだ。
おわり
澤田隆治