※澤田事務所管理人より更新させて頂きます。

 

 

この「連載プレイバック」は

1982年7月8日から1989年9月28日まで

雑誌「スコラ」に掲載された

笑人間を加筆訂正したものです。

 

 

本日は1983年9月22日 

笑人間「三遊亭円歌」(#22)中編です。

 

 

テーマ:円歌さん異常な!?張りきりぶり

 

 

 (本文)

 芸人の場合、当り芸がある場合とない場合で

名前の価値が違ってくる。

 

 

二代目の円歌師匠は’’電話の円歌’’と

いわれるぐらいのヒット作があり、

「社長の電話」などは、民放のラジオ・テレビの

発達と共に育った多くの人にはおなじみのネタであった。

 

 

その円歌師匠の弟子、歌奴は、

師匠よりもすごいヒット作を持っていた。

 

 

「授業中」、おなじみ’’山のアナアナ’’である。

 

昭和23年の作であるから今となっては内容が

古色蒼然としているのは当然だが、

なんと昭和40年代までこのネタをやらないと

お客様が承知しないという金看板であった。

 

 

その歌奴が三代目円歌になってから

代表作がないわけではない。

その「イノキが危い」というネタは

全国どこでやっても場内爆笑の渦になること

間違いなしというパワーがある。

 

 

ところがこのネタは、円歌師匠が

落語家になるといったら勘当した両親がどうして今、

我が家に居ついているのかとボヤきながら、

その父親がなによりもテレビのプロレス中継が

好きで中気の手をふるわせながら「イノキが危い!」と応援する、

そこのところがテレビでは放送出来ないために、

この円歌師匠のヒット作は少数の人にしか知られていないのだ。

 

 

だからいまだに「授業中」の歌奴と思っている人が多いことになるのだ。

 

 

テレビ時代のつらさである。

 

つづく

澤田隆治