この「連載プレイバック」は
1982年7月8日から1989年9月28日まで
雑誌「スコラ」に掲載された
笑人間(※著者:澤田隆治)を加筆訂正したものです。
本日は1983年(昭和58年)1月13日
笑人間「香川登志緒」
(藤田まこと,白木みのる)(#13)中編です。
テーマ:「てなもんや三度笠」のコンビひそかに復活」
(本文)
いまは登志緒でなく、登枝緒になっていると
説明したかったが、ますます混乱すると
いけないのでさし控えた。
登枝緒にしたほうが晩年運が
いいとみづから判断なさっての改名だから
「てなもんや三度笠」の頃のことを書く時は
「香川登枝緒さんが登志緒だったころ」と書くことになる。
小林信彦さんの懐かしくてたのしい
「地獄三部作」の「地獄の観光船」でも、
つかこうへいさんと伊丹空港で出会っての会話に、
「さっき香川(登志緒、現在登枝緒と改名)さんに
ばったり会ったんです」と
注釈をつけている。
その小林信彦さんも
「小林信彦さんが中原弓彦だったころ」
と書いておかないと判らないことがあるのだ。
「地獄の映画館」ではみづから、
「63年ごろは〈中原弓彦〉という筆名なのですね」
「そうです。その名前は、ぼくなんだ」と
書いているのを読んで思わずニヤリとしたものだ。
それほど香川登枝緒さんとも
小林信彦さんとも
長いお付き合いをしてきていると
いうことなのだろう。
香川登枝緒さんは「笑芸作家」とみづからとなえる。
演芸作家とか漫才作家というよりはるかに
幅の広さを感じさせるいい肩書きである。
つづく