この「連載プレイバック」は
1982年7月8日から1989年9月28日まで
雑誌「スコラ」に掲載された
笑人間(※著者:澤田隆治)を加筆訂正したものです。
本日は1982年(昭和57年)12月9日
笑人間「ザ・ぼんち」(#11)前編です。
テーマ:「私がザ・ぼんちを好きになったとき」
(本文)
タレントの人気の頂点を表現するのには
いろんな方法があるが、ザ・ぼんちの
人気の凄さは、1981年(昭和56年)7月21日の夜、
日本武道館で1万人のファンを集めた
「ザ・ぼんちのスーパーライブ」で象徴されるだろう。
あの日本武道館をまがりなりにも満員にする漫才は
これからも出てこないと言い切ってもいいだろう。
それぐらいあの頃のザ・ぼんちの人気は淒かったし、
あれは笑いと歌が一体となって
ふき上がった芸能史上稀有な出来事であったのだ。
その頃には歌手としては、もう先が見えていて
実況録音盤をつくるのを嫌がるフォーライフに、
無理矢理につくるらせた実況のあの興奮を
いま聞いてみると、やはりザ・ぼんちは
あの怒涛のような漫才ブームを象徴する
コンビだったと思うのだ。
こうして「だった」と過去形で書くのはおかしなことで、
今でもザ・ぼんちはテレビにラジオに
レギュラー番組を持って活躍しているのだから
「である」と書くべきなのだが、ザ・ぼんちがブームの
象徴的な存在だっただけにブームが去った今では、
過去形で書かないといけないような気がしてしまうのである。
こんな書き方も漫才ブームの仕掛人といわれた
私(※澤田隆治)が私自身の事も含めて過去形で
書いているのだからザ・ぼんちも
納得してくれると思うが、この辺にも
ブームの後遺症が残っているようだ。
つづく