この「連載プレイバック」は1982年7月8日から1989年9月28日まで
雑誌「スコラ」に掲載された笑人間(※著者:澤田隆治)を加筆訂正したものです。
本日は1982年9月9日 笑人間「コント赤信号」(#5)中編です。
テーマ:「スケールの大きい未知数が楽しみ、コント赤信号」
(本文)
ところが「ヌード寄席 道頓堀劇場」という東京のド真ン中では異常とも思える
ネーミングをした劇場のオーナーは、どうしてもプログラムからコントをはずさない。
ここに杉平助という老コメディアンが立てこもった。
座員というのか、弟子とでもいうのか、メンバーはコロコロ変わったが、
杉平助は辞めずに頑張って10年以上たった。
リュウマチで動きが自由にならず居心地がいいのがなによりで
ズルズルいたというのが本当のところかもしれないが、
かつて浅草で座長をはっていたというだけのことがあって、
「ヘンな爺さんが渋谷のストリップに出てるよ」と評判になりだしたのだ。
この杉平助が、20数年前、場末のストリップ劇場でみてあまりの面白さに忘れがたく
探し求めていた私(※澤田隆治)にとって幻のコメディアンであったその人であることを
知って、それからというのものは、尻ごみする杉平助を叱咤激励して、
浅草の関敬六劇団公演にひっぱり出したりしてヘンな爺さんぶりを発揮してもらっている。
3年ほど前になるだろうか、杉平助に「若い連中ですがいっぺんみてやって下さい」と
言われて劇場の表で会った三人の若者が、コント赤信号であった。
つづく