一年前の今日、あの町は雨の夜だった。
傘をさして雨の道を歩くヤツを見つけた瞬間
ヤツもこちらに気付いたんだ。
何十メートルも離れていてヤツは電話で話していて
でも目があったのは分かった。
なんであの瞬間、手を振ってしまったんだろう?
なんで?ってあとから聞かれたけどホント自分でも良くわからない。
別に気になる存在って訳でもなかった。
古いケイタイが出てきてうっかり電源ひ入れてしまって
前の夏のやりとりを見てなんて遠くに来てしまったんだろうって思う。
夢のような夏だった。
あの頃のヤツはいないし、あの頃の私もいない。
終わってしまったんだなあ。
でもヤツの未来はまだまだ続く。
これからたくさんキラキラした日々を過ごすんだ。
次の夏にはあの素敵な笑顔で過ごしているかな。
そうあって欲しい。
そんな時にあの夏の事を思い出すかな。
忘れちゃうかな。
私はあの日々を思い出すだけで幸せになれる。
だから大丈夫。

あとはヤツが幸せになるだけだ。
幸せになれ。
大切なのはお金。
少しの友人。
自分の居場所。

自分の居場所。

ヤツが幸せになったら、
私が独りきりになったら
沢山の人々に恩返しをして
それからお金をためて部屋を借りる。
出来ればベランダのある部屋がいいな。
少しの野菜と花を育てたいから。
そうしたら次は車が欲しい。
車の運転は好きだ。
車を運転してたまさかには綺麗な景色や
美味しい食べ物を訪ねてついでに温泉に入ったりしたい。
そうしてまた小さな部屋に戻って仕事に行って
自分でご飯を作って食べて時々友人と会う。
そんな生活がしたい。
それだけでいい。
そうして夜には布団に入って1日に感謝し、
ヤツの幸せを祈って眠る。
早くそんな日々を手に入れられますように。