肉好きの経済思想誌 -7ページ目

肉好きの経済思想誌

肉好きの男による経済思想誌

久しぶりに書きます。

先日、中部電力の浜岡原子力発電所を見学して来ました。

浜岡原発は2011年の東日本大震災の後、その年の5月に当時の菅総理の要請により運転を停止し、現在も稼働していません。

現在は、震災後に制定された基準に基づき更なる地震・津波対策を実施して原子力規制委員会の審査を待っている状態です。

今回、その地震・津波対策を見学させてもらえることになりました。

浜岡の地震・津波対策は、それはもう厳重の上にも厳重で、海抜22メートルの防潮堤、7段階の電力喪失対策など、まさに

 八重垣つくる この八重垣を

と言った感じでした。


しかし私が一番感心したのは、亀の話です。

亀の話をするには、まず取水塔の話をしなければいけません。

原発は、常に冷却を必要とします。日本では海水により冷却を行います。大陸では川の水で冷却することも有るんですが、まあ日本では海なんです。

海の水を取り入れるのが取水塔で、浜岡原発の海岸から600メートル沖に建てられています。取り入れられた海水は、海底のパイプを通って原発敷地内の取水槽という溜池に貯蔵されます。

その取水槽には、取水塔から色々なものが入ってくるんだそうです。魚とか、エイとか、、、

それで、魚やエイは良いが、亀は困ると、浜岡原発の人は言うんです。

なぜ困るのか。

亀は縁起物なので、敷地内で死なれては困ると言うんですね。なるほど。

亀が入ってくると大騒ぎになって、みんなで網を持って亀を捕まえに集まってくるそうです。

それで亀を捕まえてどうするかというと、御神酒を飲ませて、海にお返しするんだそうです。

それを聞いて私は、はは~、と感心してしまいましたね。
そういう感覚で仕事をしてもらっているというのは、頼もしいというか、安心出来る感じがします。

浜岡原発の方も、未曾有の事態に対応出来るのは、最後は人だと仰っていましたが、全くその通りだと思います。

福島第一原発の事故のときも、もし吉田所長がいなかったらと思うと背筋が寒くなります。

想定外の事は、想定出来ません。
私達に出来ることは、人を育てることなんだろうと思います。

しかしまぁ、本当の意味では人が人を育てる何てことも出来やしないのかもしれませんね。

結局私達に何が出来るのでしょう。
何もできない気もしますが、まぁ、強いて言うなら地に足をつけて毎日を生きるってことでしょうか。

何だそりゃと思われるかもしれませんが、私が亀の話に感心したというのは、結局はそういうことなんです。

ここには常識が残っている。そんな当たり前のことに感心したんです。

日本の企業には、国旗の掲揚、神棚、節目節目での神社参りなど、家庭からは失われてしまった伝統、習慣が残っています。

そういう会社がこれからも生き残っていける世の中で有って欲しいですね。

それでは、今日のところはこのへんで。。。



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新自由主義が猛威を振るうこの世界において「世界で最も成功した社会主義」と言われた日本も、じわりじわりとその病に冒されようとしています。

永きに渡るデフレにより抵抗力が毀損されてしまった日本が新自由主義と言うウィルスに対抗することは、とても難しいことの様に思えます。

医療の場合、ウィルスに対抗するオーソドックスな方法はワクチンを接種することです。
ワクチンというのは毒性を弱めた病原体のことで、ワクチンを摂取することにより免疫を獲得することが出来ます。

と言うわけで新自由主義のワクチンがこの「顔のない独裁者」です。


顔のない独裁者 「自由革命」「新自由主義」との戦い

本書では新自由主義に則り(乗っ取られ)規制緩和、民営化、グローバル化がこれでもかと言うくらいやり倒された日本を描いています。

例えば消防や警察、果ては国防までもが、この物語では民営化されてしまっています。
それは妄想が過ぎるだろうと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、米国ではすでにこれに近い状態になっています。
一部の州では消防は民営化されていて民間の消防サービスに加入していないと家が火事になっても火を消してもらえません。
さらに国防についても一部の兵隊を「外注」しています。(つまり傭兵)

つまりこの本に描かれていることはただの夢物語ではなく、米国追従を続けていけば遠くない将来実現してしまうかもしれない悪夢なのです。

そんな悪夢の実現を防ぐためには、私達は知らなければいけません。
行き過ぎた自由化の先に有る、グロテスクな結末を。
競争と言う名の共食いの惨劇を。

実際に起こってしまってからでは手遅れです。
自由化とは主権を制限する事に他ならなりません。
自由化が進んでしまった後では国民の意思で後戻りすることは不可能なのです。

自由を求める心が全体主義を産み、全体主義により主権が失われる。
なんとも皮肉な話ですが、そういった苦悩を抱えているのが本書の主人公秋川進です。
進を通じて私達は日本を被い尽くしつつある苦悩と、今正に始まろうとしている私達の物語を知ることが出来るでしょう。

ワクチン摂取の意義は勿論免疫を獲得するということですが、ワクチンを摂取すること、すなわちウィルスが脅威であると認識することそものもが決定的に重要なのです。
脅威を認識できなければいかなる対応も出来ないばかりか、進んで脅威を受け容れてしまうことにも繋がりかねません。

皆さんも世の中を見渡して「何かがおかしい」と感じたら、この本を「予防接種」してはいかがでしょうか。


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10月1日、安倍総理が来年4月から消費税増税を発表しました。
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/1001kaiken.html

同じく10月1日、米国では債務上限問題により一部の政府機関が停止しました。
http://www.asahi.com/international/update/1002/TKY201310020116.html

増税や政府支出の抑制は「緊縮財政」と呼ばれます。
日本も米国も、本格的な景気回復を前にして緊縮財政に転換してしまいました。。

これは歴史を振り返っても「よくある事」のようです。

1991年、日本でバブル崩壊が起こりました。当時の宮沢内閣は財政出動を拡大し、バブル崩壊後も日本経済は成長を続けます。
しかし1997年、橋本政権が消費税増税を行い日本はデフレに陥りました。

2008年、米国でリーマンショックと呼ばれるバブル崩壊が起こりました。FRBは直ちに大規模金融緩和を決定し、オバマ政権もニューディール政策を行いました。
しかし米国も2013年3月に「財政の崖」と呼ばれる強制歳出削減に踏み切ってしまいます。

もっと遡れば1929年の世界大恐慌でもニューディール政策を行っていたルーズベルト政権が緊縮財政に転換し、デフレに逆戻りしてしまっています。

何故こんな事になってしまうのでしょうか。

要因は2つ考えられます。

①野党・世論の圧力
②インフレ率偏重主義


まずは「①野党・世論の圧力」
これは非常に単純な話で、経済危機を受けて与党が景気対策を行うと財政赤字が詰みあがっていきます。
これは悪い事ではなくむしろ必要な事なのですが、野党はこれを攻撃するわけです。
そして景気対策が功を奏し景気が回復してくると野党の主張が説得力を持つようになってきます。
世論も「もう良いんじゃないの?」と思い始めるのです。

悩ましい事に、世界の国々は大抵3、4年ごとに国政選挙が行われます。
しかし3、4年では経済危機から脱する事は出来ません。
そうなると有権者が緊縮財政を支持したり、与党が批判を恐れて緊縮財政に転換してしまうと言う事が起こります。
そして野党や世論の圧力に負けて緊縮財政にした途端、景気が腰折れしてしまうのです。

今のアメリカは正にそんな状態です。
米国はねじれ議会となっているため野党の共和党の影響力が非常に強いです。

このまま行けば年末に向けて米国の景気は落ち込んでいくでしょう。

しかし、今回の日本に①は当てはまりません。
政権発足から1年もたっておらず、参議院選挙で大勝しねじれを解消したばかりです。
増税を声高に訴える野党もいず、内閣支持率も非常に高いなか与党主導で今回の増税判断は行われました。

本来日本が財政の崖に直面するのは次の参院選が迫る2年後くらいになるはずでした。
早すぎる財政の崖は何故起こってしまったのでしょう。


その理由こそが「②インフレ率偏重主義」なのです。

その2へ続く
(ちなみに単純なリフレ批判にはしないつもりですのでリフレ派の方もご期待下さい。)



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