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肉好きの経済思想誌

肉好きの男による経済思想誌

おはようございます。

今日も藤井教授の

大阪都構想:知っていてほしい7つの事実
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/01/27/fijii/

からの紹介です。

前回は、
【事実3】年間2200億円の大阪市民の税金が市外に「流出」します.
【事実4】流出した2200億円の多くが,大阪市「外」に使われます.

を紹介し、大阪都構想が実現すると、大阪市民は損をするというお話をしました。

大阪市を5つの特別区に分割するということは、大阪市という、日本一の人経済規模を誇る政令市を、市町村に劣る権限しか無い特別区に格下げすることです。
権限がなければ財源もありません。予算もありません。大阪市は自治を失うのです。

大阪市民にとって、大阪都構想はうれしさがあるのでしょうか?

一方で、東京23区は議論の余地なく、日本で最も経済的に繁栄しているところです。
もし、大阪都構想で大阪市が東京23区のように豊かになるのなら、やる価値はあるのかもしれません。

しかし、大阪と東京では環境、条件が全く違っており、東京の都区制度をまねしても大阪は豊かにならないと、藤井教授は指摘しています。

まず違っているのは都区、府市の人口比率です。

【事実5】特別区の人口比は東京は「7割」,でも大阪では「たった3割」
「そもそも大阪の場合は,23区民が全人口の7割を占める東京都とは真逆に,特別区民となる現大阪市民の割合は,全体のたった3割にしか過ぎません.

だから,大阪知事は,東京都知事のように,特別区の住民の意向に特に手厚く配慮しながら行政を進めていくことは,そもそも不可能なのです.

そして大阪府議会においても,大阪市(特別五区)選出議員の数は全体の約3割で,残りの7割が大阪市以外の市町村からの選出なのです.したがって府議会の議論は,東京都の様に,特別区の住民の意向を特に重点的に配慮したものとは,ならないのです.」


つまり、大阪都構想が実現した暁にはこれまでの様な大阪市域への重点投資は行いにくいということです。

さらにこちら

【事実6】東京23区の人々は,「東京市」が無いせいで「損」をしています.
「もしも東京23区に「東京市」という,今の大阪市のような一つの「政令市」があったとしましょう.政令市というシステムは,その内側の都市行政を保護する「保護システム」です.したがって,政令市という保護システムさえあれば,その東京市には,今,「東京都」に召し上げられている,莫大な税金がそのまま残され,その結果,より豊富なおカネを自由に使うことが可能となります.

つまり,東京23区の住民は,政令市という保護システムがないせいで随分と「損」をしているのです .」


そしてそもそも

【事実7】東京の繁栄は「都」という仕組みのせいでなく,「一極集中」の賜(たまもの)です.
「ではなぜ,現在の「大阪市」は疲弊しているのに,現在の東京23区が豊かなのかと言えば───それは行政の仕組みの問題ではなく,そもそもの経済規模が全く違うのからなのです.
人口についても経済規模(GDP)についても,大阪市と東京23区との間には,実に四倍前後のもの巨大な格差があるのです.

これは,首都東京に,あらゆるモノが一極集中していることを示しています. これが,東京23区の豊かさの秘密です.

その豊かさは,「都と特別区」という制度によってもたらされたものなのではなく,「首都」という特殊な事情がもたらしたものだったのです.さらに言うならその豊かさは,「東京市」という政令市の保護システムがないせいで,自主財源が流出し,23区民が「損」をしたとしても余りあるほどの豊かさだった,という訳です.

ところが──大阪市はそもそも,23区とは比べものにならない位の「少ない」人口と,「少ない」GDPしかありません.その結果,23区とは比べものにならないくらいの「少ない」自主財源しかもっていないのです.

にも関わらず,大阪市という,政令市の「保護システム」を解体すれば,大量の自主財源が流出し,大阪市民は,さらなる疲弊に苛まれるようになることは,決定的なのです.」


つまり、大阪都構想は、東京の悪いところだけまねするということなんです。

藤井教授に言わせるとこういうことです。
「それは例えば「今,一番モテている奴は,いつも髪の毛がくしゃくしゃだ.だから自分も髪の毛をくしゃくしゃにすれば,それでモテるようになる!」なんて考える様な愚かな話です.」

また、東京都世田谷区の区長である保坂展人氏はこうおっしゃっています。

フジイサトシドットコム
http://satoshi-fujii.com/150416-5/
「東京の都区制度は戦時下にできたもので歴史的な役割はほぼ終わっている。」
「東京 23 区の区長の中で大阪都構想に賛成の声は聞いたこともない。」
「大阪都構想(中略)の議論を聞くたびに思うのは、東京の特別区の抱える現実と矛盾に対しての理解の薄さです。」
「東京では、制約された基礎的自治体である特別区から「世田谷市」「新宿市」のようになることもたび たび話題にのぼってきました。それほど問題を抱えたシステムなのです。それだけに、大阪のように「政 令市を廃止して特別区へ」という議論には肯きがたいものがあります。」


さて、5回に渡って藤井教授の「大阪都構想:知っていてほしい7つの事実
」を紹介しまいしたが、いかがだったでしょうか。

これを読んでもまだ大阪都構想をやりたいという人がいるんでしょうか。
・・・いるんです。しかもたくさん。

なぜ大阪都構想に賛成するのか。
邪な一部の人を除けば、その理由は「二重行政の解消」の様です。

では、その二重行政の解消により、どれだけの経費削減効果があるのか。
次回はそのあたりを紹介します。

それでは、今日はこのへんで。


大阪市消滅確定まで あと25日



大阪都構想が日本を破壊する (文春新書 1020)
『ちなみに 、他の多くの地域では 、自分が属している地域の 「自治 」の力を 、少しでも拡大しようという動きが活発になっています 。 「村 」は 「町 」に 、普通の 「市 」は 「政令市 」に 、というように 、より権限の強い自治体に 「格上げ 」してもらおうと躍起になっているのです 。』


フジイサトシドットコム「大阪都構想」を考える~権力による言論封殺には屈しません~
http://satoshi-fujii.com
おはようございます。

今日は藤井教授の

大阪都構想:知っていてほしい7つの事実
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/01/27/fijii/

から、【事実3】と【事実4】を紹介します。


【事実3】年間2200億円の大阪市民の税金が市外に「流出」します.


お金の節約のために大阪市を解体するのに、大阪市民が使えるお金は減ってしまうということです。(いみねー)

『もちろん,これは今,大阪市が担当している事業の一部が大阪府に引き継がれることになるので,その事業のための資金だと解釈できるのですが,2200億円の予算が大阪市外に流出し,それを現大阪市民の自治でその使い道を,現在の様に「管理」出来なくなるのは事実です.
これは大阪市民一人あたりにすると,年間約8万円.つまり,都構想が実現すると,現在の大阪市民は,一人あたり年間8万円ものおカネの使い道を,自分で決められなくなってしまうのです.』

8万円ですよ?8万円あったら何買えます?

これに対して、お金だけが流出するのではなく、2200億円分の事業が大阪府に引き継がれるだけなので、大阪市民は損も得もしないという反論もあります。
(2200億円が流出すること自体に対する具体的、合理的な反論は未だ無いそうです。)

それに対し、藤井教授はこう指摘します。

【事実4】流出した2200億円の多くが,大阪市「外」に使われます.
『そもそも,「府」が,府内の核自治体から税金を一旦吸い上げ,その後に配分するのは,「所得の再分配」といって,自治体間の貧富の格差を埋めるために行われるものです.
だから,その2200億円が,これから(千早赤阪村や四條畷市等を含めた府内の)他の自治体に回されたり,あるいは,昨今財政が厳しくなった大阪府の財政のために活用されるようになる可能性も,十二分以上に考えられるわけです.』


お金には色はついていませんからね。
どうしても大阪市全体に流出してしまうのは避けられないのでは無いでしょうか。

そもそも、「二重行政を解消して効率化を図る」ということは、大阪市民のために使われるお金を減らすということです。お金が減らなかったら効率化していないということですからね。


「いやいや、効率化で浮いたお金は大阪市に使ってくれるんでしょ?」

と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんな約束はされていません。
あくまで、現在と同程度の行政サービスを確保するということです。

しかし、「現在と同程度」というのも怪しいもんですね。

二重化していた方が使い勝手のいいものもあるはずです。

効率化とはつまりはリストラですが、リストラを進めて同じサービス水準を維持できるのでしょうか。


また、こういう意見もあるでしょう。

「2200億円が大阪市外に流出しても構わない。
自分達は『ワン大阪』なんだから、大阪全体の発展を優先すべきだ。」

立派な心がけだと思いますが、皆さん本当にそれで納得できるのでしょうか。

解体されるのは、大 阪 市 だ け なんですよ?


例えば、お隣の堺市は解体されません。
(堺市は市長選挙で都構想にNo!を叩きつけました)

大阪市の財源 だ け が 一方的に流出します。

堺市はその恩恵を受けつつ、堺市の財源はガッチリと抱え込んでいます。


それって不平等条約じゃないですか?

さらに、今までは大阪府最大の自治体は大阪市でしたが、大阪市が解体されれば堺市が最大の自治体になります。
大阪府議会でのパワーバランスも変わってしまうでしょうね。
これからは、「大阪といえば堺市」になるのでしょうか。

わたしは、大阪の人は負けず嫌いだと思っていましたが、以外とそういうのは気にしないんですかね?

「いやいや、東京を見てみろ。東京は23が栄えているじゃ無いか」

というそこのあなた。
それについては次回、ご紹介いたします。

それでは今日はこの辺で。。。


大阪市消滅確定まで あと29日

次回は
【事実5】特別区の人口比は東京は「7割」,でも大阪では「たった3割」
【事実6】東京23区の人々は,「東京市」が無いせいで「損」をしています.
【事実7】東京の繁栄は「都」という仕組みのせいでなく,「一極集中」の賜(たまもの)です.

を紹介します。



大阪都構想が日本を破壊する (文春新書 1020)
『大阪市は 、自分で洋服を買える存在から 、あえて 、お仕着せの服しか着られないような存在にみずから進んでなろうとしているのではないか 。』


フジイサトシドットコム「大阪都構想」を考える~権力による言論封殺には屈しません~
http://satoshi-fujii.com
おはようございます。

今日も藤井教授の

大阪都構想:知っていてほしい7つの事実
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/01/27/fijii/

から、【事実3】と【事実4】を紹介します、、、という予定でしたが、藤井教授が興味深いサイトを紹介していましたので今日はそっちをやります。

フジイサトシドットコム
いわゆる推進派の「都構想の説明」は「間違って」いると思います(区と特別区は全く違います)
http://satoshi-fujii.com/150416-2/
『今、あれこれとHPを見ていて、「あれっ、これは深刻な問題ではないか…?」と思
至った事がありましたので、まず、本FB上でメッセージ配信します。
「都構想」を推進するある公党HPのトップには、次のように書かれています。
ーーーーーーーーーーーー
もう一度わかりやすく。大阪都構想とは。
「大阪市の24区を再編し、5つの特別区を設置し、大阪府と大阪市の広域行政を統合すること。それが大阪都構想です。」
ーーーーーーーーーーーー
http://oneosaka.jp/tokoso/q-and-a1.html
多くの方は、この説明を見て、なるほど、そういものかーーとお感じになるかもしれませんが、この説明は「間違った説明」だと、筆者は考えます。むしろ、一般の方々の「無知」に便乗した、悪質な情報操作でだと言われかねないものであるように思えます。』


大阪市が分割、廃止されるとは書きたくないわけです。
ですから代わりに『大阪市の24区を再編し、5つの特別区を設置し、大阪府と大阪市の広域行政を統合する』と言っているわけですが、藤井先生はこれを『悪質な情報操作と言われかねない』と批判しています。

また随分と強い言葉です。それだけ『深刻な問題』として受け止めているということです。

それはそうです。

『もう一度わかりやすく。大阪都構想とは。
「大阪市の24区を再編し、5つの特別区を設置し、大阪府と大阪市の広域行政を統合すること。それが大阪都構想です。」』

を見て賛成票を入れる有権者は、大阪市が消滅することに気付かない可能性があるのです。

さらに、問題のサイトの中のQ&Aでは

Q.大阪市は廃止・解体されるの?

に対し、こう答えています。

『大阪府庁と大阪市役所という役所組織を統合再編するもので、街がなくなるということはありません。
各地域のコミュニティもなくなりません。
また、地名は来年夏に住民の皆様の意見を聞いて決まることになりますが、基本的には、大阪市区□□町という表記が、大阪都△△区□□町という名称になり今まで使われていた地名は残ります。』

答えています、と言いましたが、全然答えてないですね。
ここでもムリくり話を逸らしています。
これでは大阪市が無くなるのか無くならないのか、有権者は正しく理解することが困難です。

これは悪質と言われても仕方がないのではないでしょうか。

また、藤井教授は、目くらましに使われている
『大阪市の24区を再編し、5つの特別区を設置し』
という部分も、そうとうにおかしいと指摘しています。

曰く
『まず、大阪市の今の「区」と、都構想後にできあがる「特別区」とは、同じ「区」という言葉が使われていますが、まったく違うものです。
少々大げさに言えば、「雲」と「蜘蛛」は、おなじ「クモ」でも、全然違うものですが、それと同様です。』

いま大阪市にある区は、文字通り区画を意味する区で、区長選挙もありません。
それに対し、大阪市を解体して作られる特別区は一つの自治体で、区長は選挙で選ばれます。

両者は会社と出先事務所くらい違うものだそうです。

『例えば、次の「国鉄の分割民営化」の話を考えてください。
「国鉄は分社化されて、JR西、JR東、JR東海。。。。等ができあがりました。一方、国鉄時代、各地域の事業を行うために、東北○○事務所だとか、甲信越○○事務所だとかがあった。」
「国鉄」や「JR」というのは会社ですから、上の話でいえば「大阪市」「特別区」というものに対応し、「○○事務所」というのは、今の大阪の区(「行政区」)や「丁目」等に対応します(←この点、この話の肝ですから、しっかりとご理解ください)。
さて、この国鉄民営化話は、次のように説明できるでしょうか?
「国鉄にあった数十の事務所を再編し、6つのJRを設置します。それが国鉄民営化構想です!」
こりゃ、いくらなんでも、おかしいのではないでしょうか。
普通、言うべきなのは、「一つの国鉄を6つに分社化する」ってだけの話ですよね? そうでないと、「改革の本質」が「隠ぺい」されてしまいますよね!?』


「国鉄にあった数十の事務所を再編し、6つのJRを設置します。それが国鉄民営化構想です!」
と、
「一つの国鉄を6つに分社化する」

じゃあ全然違いますよね。

「お飲み物は袋に入れずにお渡ししてもよろしいでしょうか」
と、
「お飲み物はストローを挿してもよろしいですか」

ぐらい違いますよね。
確認したいのそこじゃねーだろ!!

ところで、国鉄分割民営化の話が出ましたが、民営化の話は「分割」という枕ことばがつくことが多いですよね。郵政民営化もそうです。
なぜ分割民営化なんでしょう。

それはずばり、弱体化させるためです。

民営化が検討されるような事業はたいてい、事業規模が大きく、そのまま民営化した場合、巨大な資本と事業規模を持つマンモス企業になってしまいます。

すると、せっかく民営化されて市場がオープンになってもシェアを奪えない。
あるいはこれまで税金によって積み上げられてきた資産を買い叩けない。。。

ですから、「公正な競争」の名の下に分割されるんです。

つまり、おいしく頂けるよう、一口サイズに切り分けるってことですな。


それでは大阪市を分割する目的は何なのでしょうか。

大阪都構想では、大阪市解体後に、市営であった鉄道や水道事業の民営化が検討されています。
橋下市長はかつて「大阪市が持っている権力、力、お金をむしり取る」

と発言しています。

目的は大阪市の弱体化と言っているようなものではないでしょうか。

もし、そんな邪な目的ではないのだとしたら、なぜ
「大阪都構想は、大阪市を分割、廃止して5つの特別区を設置することです」
と説明しないのでしょうか。

5/17の住民投票で賛成多数となれば、大阪市は弱体化どころか消滅します。
新しく出来る5つの特別区も、政令市とは比べ物にならないほど弱い権限と財源しか持っていません。

これって誰得なんでしょうか。少なくとも大阪市民が得をするとは到底思えません。

というわけで、次回は大阪市民が損をするという話を紹介します。

今日はこの辺で。。。


大阪市消滅確定まで あと30日




大阪都構想が日本を破壊する (文春新書 1020)
『東京では 、戦争中 、戦時体制下で 「都区 」制度に移行され 、その後 、権限と財源の縮小に不満を抱いた区民たちによる 「都 」という制度に対する反対運動が巻き起こっているのですが 、その事実を知っている方は 、一体 、どれくらいいるのでしょうか ?』


フジイサトシドットコム「大阪都構想」を考える~権力による言論封殺には屈しません~
http://satoshi-fujii.com