こんばんは。
さっそく生活リズムが崩壊してきました。
今日は書籍の紹介です。
大阪都構想にも関係ある話なので是非ご覧ください。

意思決定の処方 (シリーズ・行動計量の科学)
著者は早稲田大学教授で行動計量の専門家の竹村和久教授と、
私たちにはおなじみの、京都大学教授の藤井聡教授です。
「えっ、行動計量学?藤井教授て土木専門じゃないの?」
と思われる方もいるかと思いますが、土木というのは非常に範囲が広いんです。
構造物を建てるだけではなく、都市計画や、建てた後の運用、更には土木事業を行うという「意思決定」までもが藤井先生の研究対象となっているのです。
本の内容はかなり学術的で、詳しく読み解くのは大変難しいです。
しかし、数式など難しいところを読み飛ばして(全体の半分以上は読み飛ばしました)考え方や事例だけを見ていっても、非常に興味深いことが書いてあります。
今回は私が興味深いと思ったところを、今起こっている出来事に照らし合わせて紹介します。
(私も理解できていない数式は一切出てきませんのでご安心下さい)
人間の思考には癖があります。行動計量学は人の行動を計量(数値で測定)し、その癖を明らかにするものです。
そして、この本の大きなキーワードとなる思考の癖が「フレーミング効果」です。
フレーミング効果とは、人が意思決定をする際、複数の判断基準(例えばメリットとデメリット)のうちどれを重要視するかが情報の与えられ方によって変わってしまうというものです。
本ではこんな実験結果が紹介されています。(要約して書きます)
設問
「600人を死亡させると予測される病気が発生。
対策はAとBの2つ。あなたはどちらを選択しますか?」
そして対策AとBの説明に入るわけですが、ここに仕掛けがあります。
実験では回答者を2つのグループに分け、それぞれに違ったニュアンスでAとBを説明します。
グループ1
ポジティブフレーミングを起こすため、なるべくポジティブに説明。
対策A:200人が必ず助かる
対策B:1/3の確率で600人全員が助かる。2/3の確率で誰も助からない。
結果は、グループ1では72%の人が対策Aを選択しました。
皆さんはどちらを選択しましたか?
続いてグループ2です。
グループ2
ネガティブフレーミングを起こすため、なるべくネガティブに説明。
対策A:400人が必ず死亡する。
対策B:誰も死なない確率は1/3。全員死亡する確率が2/3。
グループ1とグループ2に説明した対策は、どちらも本質的には同じものです。
しかしグループ2では78%が対策Bを選択したのです。
つまり、説明の仕方で人々の意思決定が全く変わってしまったということです。
これって結構怖いと思いませんか?
さらに興味深いのは、その変わり方です。意思決定の変わり方には決定的な癖があるというのです。
その前に、2つの対策の特徴を説明しておきます。
対策Aは確実な効果が約束されているかわり、必ず助からない人が出てしまいます。
対策Bは全滅のリスクがあるかわり、全員助かるという、理想の効果を得られる可能性があります。
対策Aは確実性重視、対策Bは可能性重視です。
言い換えると、対策Aはリスク回避型、対策Bはリスク志向型と言えます。
つまり、この実験で示された思考の癖とは
ポジティブフレーミングだとリスク回避型
ネガティブフレーミングだとリスク志向型
ということです。
皆さんどう思われるでしょう。私は意外だなと思いました。
ネガティブな情報を与えられたら慎重になり、リスク回避型になりそうな気がします。
しかしそうではないんです。
この傾向は、他の実験でも現れているそうです。
こう考えると分かりやすいかもしれません。
とにかくこのままではヤバいと、危機感を植え付ける。
すると、一か八かの過激な選択をしまう。
借金の返済日が迫ったお父ちゃんが、有金をギャンブルに突っ込んでしまうような心理でしょうか。
あるいは、このままでは大阪が潰れると脅された市民が、大阪市解体という過激な改革に賛成してしまうような心理でしょうか。
大阪は今、大々的なネガティブフレーミングキャンペーン(つまりは印象操作)に飲み込まれています。
「二重行政のムダで借金が膨らみ、大阪が潰れる。」
と言われたら誰だって「今すぐなんとかしなきゃ!」と思いますよね。
しかし
「二重行政で市民一人当たり年間うまい棒2本分のムダがあります。」
と言われれば、みなさんの選択は変わってくるのではないでしょうか。
しかし現実は、ネガティブフレーミングを誘導する報道やCMを、大阪市民は浴びせ続けられています。
こんな状態で、ネガティブフレーミングの罠から逃れることは出来るのでしょうか。
「意思決定の処方」にはその方法が書かれています。
それは、、、
よ~~~~~く考えること
です。
上記と同様の実験で、時間を与えてじっくりと考えてから選択をした場合、フレーミング効果が薄れ、リスク回避とリスク志向の中間に近づいていくという結果が出ているそうです。
強いネガティブフレーミングというのは、一種のパニックです。
いまの大阪市民は人為的にパニック状態にさせられているのです。
そこから逃れるには、落ち着いて、じっくりと考えるしかありません。
この辺の話は、藤井教授がメルマガで書いていらっしゃいますので、是非ご覧ください。
フレーミング効果以外にも色々あるそうです。(つまり色々やられてしまっている)
藤井教授:徹底解剖! 都構想「賛成」を導く心理操作術
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/04/21/fujii-139/『大阪、そして日本の未来を大きく左右する「都構想」の住民投票にて、一人でも多くの有権者達が、公権力者や似非学者達が仕掛ける心理操作を跳ね除け、理性的な賛否判断を下さいますことを、祈念したいと思います。』
それでは今日はこの辺で。
大阪市消滅確定まで あと17日


大阪都構想が日本を破壊する (文春新書 1020)
『「自治体として自殺するか否か 」が問われている』


意思決定の処方 (シリーズ・行動計量の科学)
フジイサトシドットコム「大阪都構想」を考える~権力による言論封殺には屈しません~
http://satoshi-fujii.com