最近、消費税増税について以下のような観測が流れています。
①消費税増税するなら景気対策として財政出動をする。
②消費税増税しないのなら財政出動しない。
財務省にこの2択を迫られていると言うのです。
そのため今までデフレ期の消費税増税に否定的であった麻生副総理、西田参議院議員などが消費税増税容認に回っているとか。
財政出動の中でも特に国土強靭化が潰されてしまうのではないかという懸念が有るようです。
しかし、この話には違和感を感じます。
上記の2択を迫られた場合、どう考えても
『②消費税増税しないのなら財政出動しない。』を選択すべきであり迷う余地は無いからです。
まず、『①消費税増税するなら景気対策として財政出動をする。』を選択した場合どうなるでしょう。
恐らく消費税増税を決めれば補正予算が組まれるでしょう。
政府は4月消費税3%引き上げ方針固める、2%分の経済対策も
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE98B01320130912
しかし、補正予算で本当に増税のショックを相殺できるのでしょうか。
高橋洋一氏によると、1997年の消費税増税の際財務省は増税分を全て支出しており、マクロ的にはプラスマイナスゼロであったと言います。
にも拘らず翌98年から日本はデフレに陥り、それ以来一度も97年の税収を上回った事がありません。
この事から補正予算の規模は増税分=6兆円では不十分である予想されます。
それではそれ以上の規模の補正予算を組む事は可能でしょうか。
今流れている情報によるとそれは難しそうです。
経済対策で国債を追加発行せず 麻生財務相
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130913/fnc13091312390004-n1.htm
この記事には「麻生太郎財務相は13日の閣議後記者会見で、来年4月に予定される消費税増税に備えた経済対策の財源に関して「(新たに)国債を出さない方向で検討する」と述べ、赤字国債を追加発行しない方針を示した。」
とかかれています。
財務大臣の発言ですから当然これは財務省の意思と捉えることが出来ます。
国債を発行せずに増税分以上の補正予算が組めるとは思えません。
したがって、増税と引き換えの財政出動は不十分な規模になる可能性が高いのです。
また、補正予算の規模とは別の問題もあります。
本ブログの『消費税増税で60万社が倒産の危機に』で述べたように、消費税増税で最もダメージを受けるのはすでに消費税を滞納している中小零細の事業者です。
本来であればこれらの事業者を集中的に支援すべきですが、税金を滞納している事業者を直接支援する事は建前上難しいでしょう。
結局ばらまきにより間接的に支援するしかないのですがそれでは量的にもタイミング的にも間に合いません。
そうなれば中小企業の大量倒産・大量失業が起こり経済に甚大なダメージを与える事になります。
さらに、国土強靭化も危うくなります。
増税と引き換えに補正予算が組まれると言いますが、基本的にこの補正予算は国土強靭化とは無関係です。
勿論国土強靭化に繋がる公共投資も行われるでしょうが、補正予算の目的が経済対策で有る以上、建設関係ばかりに予算を割り当てるわけには行きません。
そもそも国土強靭化は補正予算ではなく、通常の予算を組んで長期的に取り組むプロジェクトです。
消費税を増税すれば国土強靭化の予算が確保できるのでしょうか。
増税により税収が増えれば可能でしょう。
しかし、そんな事はまず起こりえません。どんなに経済対策を打っても税収を減らさないようにするのが精一杯でしょう。
そうなれば国土強靭化の予算が十分に付くとは考えにくいです。
そもそも消費税を増税すると言う事は財政健全化重視に舵を切るということです。
その中で国債発行を前提とした国土強靭化を勧めるのは困難でしょう。
つまり選択肢①の消費税増税の代わりに得られる財政出動は、不十分な規模の補正予算のみである可能性が高いと言う事です。
その2につづく
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本日の銀狼怪奇ファイルもこちらの動画
動画の9:22からの発言を要約すると以下のような事を言っています。
「消費税増税に反対する人の中には減税をして小さな政府を目指す。民間に資金を回して競争原理でやっていくと言う構造改革主義者がいる」
これはむしろ逆で、世界中で消費税の増税を唱えているのは構造改革主義者、新自由主義者です。
彼らの目的は所得税・法人税の減税です。
日本でも法人税減税の議論が活発になってきていますね。
極端な人は税は消費税に一本化すべきだ、とまで言います。
つまり、累進税率をやめろという事です。
しかし勿論、そんな事をすれば社会のシステムがおかしくなります。
昨日書いたように、昭和61年には所得税は70%、法人税は43.3%の税率でした。
これだけ税率が高いと、「節税」をする必要が出てきます。
そして税制は原則として、経済のためになる様にお金を使うと節税出来る様に設計されています。(当然抜け道はありますが)
例えば設備投資をすれば投資減税があります。
また、経費として消費を行えばその分は課税対象になりません。
そして投資や消費は誰かの所得となります。
あるいは税金で持って行かれるくらいなら従業員の給料を上げようと考える経営者もいたでしょう。
こうしてかつての日本は企業の所得分配システムにより経済を拡大させてきたのです。
しかし、税率が下がれば企業のマインドも変わってきます。
人件費を削り、経費を削り、設備投資までも減らす。そして絞り出した利益を内部留保として貯金してしまいます。
これでは所得が下がり続けるのも当然ですね。
さて、ここまでは実は西田先生の主張と全く同じなのですが重要なのは、消費税を上げても企業の所得分配システムは回復せず、むしろより破壊されていくという事です。
これは当然の事で、法人税は経費に税金はかかりませんが、消費税はかかります。
勿論設備投資をしても消費税がかかります。
これでは企業はより節約マインドを強め、誰かの所得となるはずだった企業の支出を減らしてしまいます。
西田先生の問題意識はごもっともですが、その解決策は所得税・法人税の増税であって消費税増税ではないのです。
新自由主義者が泣いて喜ぶ所得税・法人税の消費税化を阻止していきましょう。
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昨日に引き続き銀狼怪奇ファイル。
昨日は色々と批判めいた事を書きましたが、日本が所得税・法人税を下げ続けて来た事が問題だと言う主張はごもっともだと思います。
しかし、それが問題なら所得税・法人税を上げるべきで、消費税を上げても問題の解決にはなりません。むしろ悪化するでしょう。
所得税・法人税の減税の問題点は減税する事そのものではなく、税の累進性が下がる事に有るからです。
因みに所得税・法人税の税率の推移は以下の通りです。
所得税率の推移(財務省HPより)
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2010/zei001e.htm

法人税率の推移(財務省HPより)
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/082.htm

昔の所得税の最高税率70%!!すごいですね。
さて、次の怪奇発言はこちら。
動画の7:02のあたりで
『消費税の増税は国際公約になっている』
と仰っています。
まさかこの台詞を西田先生から聞くとは、、、何ともいえない気持ちになります。
消費税増税は日本国民の生活をどうして行くかという問題です。
外国は関係有りません。
関係有りませんが、そもそもどのような国際公約をしたのでしょうか。
政府の公式見解は
『経済状況を踏まえながら消費税を引き上げていく』
というものです。
つまり、景気対策によって増税できる経済環境をしっかりと作っていく。
その上で消費税の引き上げを判断すると言うのが国際公約です。
デフレ期の今消費税を引き上げることは、むしろ公約違反ではないでしょうか。
デフレ期に増税し、経済が落ち込めば当然海外諸国にも迷惑がかかります。
日本は国際的な批判に晒される事になるでしょう。
国際公約の通り、そして国民との約束の通り消費税引き上げの前にデフレ脱却を!
その3につづく、、、
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