ＮＨＫをぶっ壊すという言葉が有名になりましたし、また立花氏の強気な言動に賛同する若者も多くいますが、私は最近のＮＨＫ番組を見ていると絶対に潰したらダメじゃないかな・・・という気持ちになります。
先日放送していたＮＨＫスペシャルの首都直下型地震「パラレル東京」等は多くの人に強い危機意識を与えてくれた、素晴らしい番組でしたし、現在放送中の「食の起源」も我々の食に対する知識がいかに乏しく、そしてその乏しい知識のせいでいかに安易に情報と流行に流されているかを教えてくれました。
民放各社が視聴率を重視する中、「視聴率が取れる事」よりも「必要な事」を放送しようとするＮＨＫの気概のようなものを感じます。
最近私が録画する番組の多くがＮＨＫになりつつありますが、それは実際に民放各社がバラエティー一色、あるいは視聴率重視で「面白い事」「話題になりそうな事」の放送ばかりが目立っている為、必然的にそうなってしまっているのだと思います。
もし、ＮＨＫが無くなってしまったら、先日放送された「パラレル東京」のような番組は民放で制作可能だったとは思えません。
また、大河のような王道の歴史ドラマを21時や22時の時間帯に1年通して放送する決断が出来るのかというと、それも難しそうな気がします。
知恵泉や100分で名著のような番組も民放だと絶対に放送されないでしょうし・・・
歴史、文化、伝統を題材とするような番組は民放ではスポンサーがつかないでしょう。
もし、ＮＨＫが無くなるとそういう番組を放送するテレビ局が皆無になってしまいます。
パラレル東京を視聴してから、ＮＨＫが無くなったら絶対にダメだなという気持ちになり、ＮＨＫという公共放送に興味がわきました。
そこで、ＮＨＫの役割について知りたくなり、調べてみたところＨＰに以下のように掲載されていました(一部)。
①命と暮らしを守ること
②「知りたいこと」「知るべきこと」を伝えること
③文化を担うこと
④地域の応援団であること
その他
全ての番組がそうとは言いませんが、少なくとも私にとってＮＨＫは民放各社に比べ圧倒的に「知」の宝庫です。
そして、その「知」とは生活や人生にとって必要な「知」が多くあります。
文化や伝統、芸術への「知」は人生に哲学的な豊かさをもたらしてくれます。
歴史への「知」は人生に知恵を教えてくれます。それは今を生きるヒントに繋がります。
学問的な「知」は無知である事を教えてくれ、知的好奇心をよみがえらせてくれます。
「知るべきこと」への「知」は真実を教えてくれます。
昨今の日本の民度についての風潮はポピュリズムに流されて、思考回路が停止しているように感じます。
例えば立花氏の発言は「奇抜で面白い」かもしれませんが、取っている行動はあまりにも無節操で最悪です。
キャッチフレーズや言葉ではなく、もっと現実を真実として受け取る冷静な思考が必要な気がします。
ＴＶを視ることは娯楽の一つかもしれません。
しかし、その役割は娯楽だけでないのも事実ですし、娯楽以外の目的の方が実際は大きいような気がします。
だとしたら朝と夜の一部の報道番組以外が全て娯楽化している民放は、もしＮＨＫが無くなったとしたらその役割を引き継ぐ事が出来るのでしょうか。。。
少なくとも、私はＮＨＫは今のままの「公共放送」として民放各社が制作出来ないような番組を作り続けて欲しいです。
首都直下型地震を取り扱った「パラレル東京」、本当に素晴らしい番組でした。
「こうなった日の事を本気で考える」
その意図は十分視聴者に伝わったと思います。
大阪に住む私にとっても非常に身近な事に感じました。
番組の最終回は「もし4日前に戻れたら私はどうするだろう・・・」という言葉で締めくくられましたが、その時私の頭によぎった言葉は『たとえ4日前に戻れたとしてもどうする事も出来ない。。。』という言葉でした。
つまり、準備がキチンと出来ていなければどうしようもない・・・・という事です。
おそらく私だけではなく、あの番組を視聴された多くの方の脳裏に浮かんだ言葉は同じ言葉だと思います。
一人ひとりの人に一日でも早くリアリティをもって適切な備えをして欲しい
こうなる前に・・・今安全なこの間にこそ考える事をして欲しい
そんなＮＨＫの想いが込められた番組だったと感じました。
実際にＮＨＫをぶっ壊すなんてこと出来ないと思いますが・・・
あんな発言にＮＨＫ自体うろたえる必要も、応戦姿勢を見せる必要もないと思いますし
ＮＨＫの番組の価値を知る国民も多くいるということを信じて、これからも素晴らしい「知」の番組を作り続けて欲しいです。
