上司宅にて。

嫁「にこにこ」

上司「わざわざお礼なんか良かったのに。」

俺「いえいえ、とんでもない。それに、◯◯課長にはいつもお世話になっていますから。」

上司「それにしても、このグラスを選ぶとは、君、センスがいいんだね。」

俺「あ、それは、うちの愚妻がえらんだんですよ。」

上司「おお。そうかそうか。君の評価、あげておこうかな。君、奥さんに感謝するんだぞ、なんてな。」

俺「ありがとうございます。ボーナスが楽しみだなあ。」

上司・俺『ははは』

嫁「にこにこ」

……自宅、リビングにて。

嫁「課長さん、すっごく喜んでたね!評価あげておこうかな、だってさー!ねえねえ、わたしのおかげ?おかげ?」

俺「そうだなー。俺も、あんなに喜んでもらえるとは思わなかったよ。ありがとな。」

嫁「えへへー。照れちゃいますなあ。」

嫁「ところでさあ、ぐさいってどういう意味?」

俺「自分の奥さんのことを謙遜していう言葉だよ。」

嫁「ふぅーん。漢字でどう書くんだろ?ケータイで探してみようっと。」

嫁「ぐさい、ぐさいーっと…」

嫁「…」

嫁「ウルウル」

俺「どした?泣きそうな顔して。」

嫁「ぐさいって、愚か者の奥さんってこと!?」

俺「ええ!?違うよ!さっきも言ったとおり、謙遜して…」

嫁「あたし、もっちーくんに喜んで欲しくていっぱい頑張ってきたよ?お料理も苦手だったけど、美味しいって言って欲しくて勉強したんだから!お掃除だって、おしゃれだって…うぇええん。」

俺「おろおろ」

俺「ごめん。そういう意味で言った訳じゃないんだよ。」

嫁「もっちーくんの、ばかあああ!うええん。」とてとて。

俺「ああ、寝床に行っちゃった…ふて寝しちゃうなこりゃ。」

ぐう~っ。

俺「腹減ったなあ。今日は嫁の特製カレーだったはずなのになあ。」

俺「しょうがないから、俺も寝よう。腹減りすぎて俺まで泣けてきた。」
ぐう~。シクシク。

…次の日

トントントン…
グツグツ…
ジュウ~…

俺「んあ、なんだ?すんげえいい匂いがするぞ」ムクリ

嫁「あ、もっちーくん起きた?」

俺「あ、お、おはよう。って何このフルコース!」

嫁「あのね、もっちーくんにぐさいって言われないように、明日から頑張ろうって決めたの!だから、もっともっと喜んでもらうために、大好きなメニューいっぱい作ったんだよ。あ、ほらほら、顔洗ってきて!歯も磨いてくるんだよ!」

俺『それにしても、この量は』

嫁「もうすぐ出来上がるんだから!早く行ってきて?」

俺「は、はーい。」

…会社にて

上司「いやあ。この間はありがとな。あのグラスでワインを飲むのが楽しみになっちまったよ。」

俺「喜んでもらえて嬉しいですよ。」

上司「そうだ、今度俺の家に遊びに来いよ。ご馳走するぞ!あ、君の奥さんも連れてきなよ。うちの妻も会いたがってるんだ。」

俺「ウチのぐさ…」
(脳裏に嫁のむすっとほっぺたを膨らました顔がよぎる。)
(嫁「むぅううー」)

上司「???どうした?」

俺「私の、最高の妻も一緒に伺わせていただきますっ!」



…的な感じのヨメが欲しい。
リズムきざんで
カーディガンのポケットゆれる
ゆでたての太陽の下

お気に入りのブーツが歌って
マフラーおよぐ
ふわふわ香る 風のなか

ひかるメロディ奏でる スキップ
不安のかけらは遠くへ蹴って
行き先は気持ちの針が指す方へ

私には親友がいる。

岡田陽太、それが親友の名前。
2年の時のクラス替えで、一緒になって、あいつは私の前の席。
そのとき私は一番後ろで教室のドアの近くの席だった。

陽太はいわゆる『愛されキャラ』。
休み時間になると、隣のクラスからわざわざあいつの友達がやってきて、
じょりじょりの坊主頭をなでにくる。
「ボウズのくせに髪やわらけーから、マジきもちいーわ」
なんて、なでまわされてる。
アイドルのメンバーの中でだったら誰と付き合う?とか、
たわいもない話でもりあがってて、チャイムが鳴っても居すわるやつもいたりする。
先生が入ってきても気づかないやつもいたりして。

「陽太、今日は何の集会なんだ」
「いやー、アイドルと付き合うための作戦会議っす。」
なんじゃそりゃ。
「お前、隣のクラスだろ?テストだったはずだぞ今日。」
「やっべー」
こんな感じで陽太の周りはいつもどたばたしてて楽しそうだ。



続く。