てるみくらぶと言う会社を知ってますか?私が昔いて、限界を感じて辞めた会社であり自転車操業で最終的には旅行中のお客さんにまで迷惑かけて倒産したあの会社です。そのてるみくらぶが3年前の今日3月26日倒産しました。何の因果かそんな日に倒産時の話を取り上げるテレビ番組が放送されるそうです。なんでも、「加藤浩次とどん底どっこいしょ」って名前らしい。

実はその番組のスタッフがこのブログを読んで連絡してきました。「もし、てるみくらぶの社員さんでしたら当時の話伺えませんか?」と聞かれたので、彼らが欲しい素材は倒産当時のエピソードらしいけど、役に立てばと倒産の時とは全く被らないけど嘘偽り無いダークサイドのエピソードをメールしました。
そこから先、特に連絡無かったのでこの情報は生かされませんでした。1年10ヶ月に及ぶ戦いの歴史を上手くまとめた文章なので三回忌にまるごと公開しようと思います。

某制作会社
◯○様
先日は当ブログへの問い合わせありがとうございます。◯○様から番組の趣旨拝聴しました。残念ながら倒産当時の社員ではありませんが、私がいた当時のお話は伝えられますので当時の話だけお伝えします

在籍期間 2007年12月~2009年9月
当時、てるみくらぶでは出発地域毎に部署が別れており、私はハワイ担当のハワイ課に所属していました。
てるみくらぶはWebページと電話で旅行の予約を受けており、コールセンターなどありませんでしたから予約等の電話を受けながら、各自が業務を行っていました。
例えば、現地ホテルの空き室、航空座席の空席を交渉する担当がそれぞれにあり、その仕事をやりながらコールセンターの仕事もする感じでした。

コールセンターですから予約だけでなく苦情も付いて回ります。集中力を要する仕事中にクレーム処理しなければ無いなんてザラでした。

私が退職したのは激務で体に限界が来たからでした。埼玉から朝六時位の電車に乗り、帰りは終電23時半初の埼京線でした。23時10分に退社して全速力でホームまで毎日のように走り、駅からはタクシー。タクシー代払うのが馬鹿馬鹿しくて、帰宅せず漫画喫茶で寝泊まりもありました。

肉体的にきつかったのもありましたが精神的に打ちのめされる業務があり、どちらかと言えばそちらが一番の退職理由だったと思います。

それは『誘導』と言う業務でした。
てるみくらぶでは航空座席とホテルの部屋をセットで格安に販売するパッケージツアーを主に販売していましたが、
インターネット上で販売する際にカレンダーを表記していました。
例えば、ハワイ3泊5日●●ホテル指定コースがあったとして、
3月27日(金)出発は満席
3月28日(土)出発は4席
3月29日(日)出発は10席
のように表記していました。実はこの座席、リアルな数ではなくて担当者の見込みの数でしかなくて、実際に飛行機の座席が取れない場合でも『まあ、粘ればなんとかなるでしょ』みたいな感じで空くのを待つのです。ちなみに当時ホテルの空室は管理がしっかりしてたのでホームページの表記はほぼ正確でちゃらんぽらんなのは飛行機の座席管理でした。

しばらくして取れてしまえば問題ないですが、取れない事もあります。それが集中的に起きます。出発の1ヶ月前くらいに飛行機の座席が取れないお客様にお詫びとお願いをする業務。それが『誘導』です。

お客様をどう誘導するか?やり方はこんな感じでした。

予約したコースの帰国便の飛行機座席が取れて居ないので3月27日(金)出発で3月29日(日)帰国のご旅行ですが、
●滞在を一日短縮もしくは延長出来ませんか?
●日程をずらせませんか?
●(6名のグループの予約だとしたら)別れて別便で帰りませんか?
みたいな提案をしなければなりませんでした。勿論、協力してくれた方にはお詫びの意味も込めて延泊分の負担や現地の夕食券とかオプションツアーのサービス等の条件を提示したりはします。
最初の提案で協力する人なんてほぼ皆無でした。

大体の人はもっと前に予約して旅行代金全額入金した方ばかりですそんな方々にせっかく予約したハワイ旅行を短くしろとか休みを延長しろと1ヶ月前に言わねばなりません。言うだけでも心苦しいですが、そこから電話口の我々はお客様の激昂を受けなければなりませんでした。まっとうな事を言われます、我々はお詫びするしかありません。

色々な罵詈雑言を受ける中で『あんたの上司を出せ』と言われることがありました。誘導の業務は課長以上は行わず、平社員がやる業務なのでフリーな筈ですが、上司を出せと言われてもなかな電話を代わってくれませんでした。
理由は部下の成長のためとか言う理由みたいで『部長も俺も誘導をして大きくなれたからお前らも頑張れ』という屁理屈を言われました。
頑なに課長が代わるのを拒否するので、女性社員が誘導をしてて激昂されて『上司を出せ』と言われたら男性の平社員が上司を偽り事態を収めた事もありました。女性差別と言われたらそれまでですが「女性の職員がダメと言ってるが男に言えば事態は変わるんじゃないか?」みたいなお客様がいたのも事実で早めに誘導を終わらせる策としてそんなこともしてました。

課長と誘導を頑張っていたと言う部長は誘導について話す度にこんな話を朝礼で言ってたのを思い出します『ビジネスとして攻めている以上、誘導はしょうがないんだ』。当時てるみくらぶと検索すると第2検索ワードで「詐欺」「評判悪い」と出てた頃の話です。部長は逮捕された山田社長と共に立ち上げた創設メンバーだったそうです。根っこからダメだった会社の倒産のニュースを聞いた当時、やっぱりなぁと思いました。

ちなみに山田社長は私がいた当時は大変な人格者でした。オフィスには誰よりも早く出社して、元気な太陽みたいな人でした。社長として部下の尻拭いをするために批判の矢面にたった社長は切なくてニュース映像を見てられませんでした。

無駄に長いメール失礼しました。少しでもお役に立てれば幸いです。

シマダ


以上、そんなんだからてるみくらぶには一切思い入れないし、当時の人で交流してるの一人だけって感じで別に思い入れないけど、バズるかなと思って付けたDJ名義が「しまだくらぶ」で全然バズりませんでした。でも『しまだくらぶは皆さんを無事目的地に予定通りお届けします』は良いコンセプトで続いてます。言わば、自分の中のてるみくらぶはそれだけ。そんな中で番組スタッフはよく見つけたよね(笑)。