飲み会が開かれることになって、私は早速大学の仲良い友達を誘った。




もちろん、大原さんとお近づきになりたい旨は予め伝えてね。




「すぅの好きな人が見られるんだー!行く行くー!」




みんな二つ返事で飲み会の誘いに応じてくれた。




飲み会は3週間後。。。




その日を今か今かと楽しみにしながら、福岡さんと社内メールでこっそり連絡を取り合う。




『19時半からスタートだよ!部内の人に気付かれないように、私は先にオフィスを出るね!』




『了解しました!大原さん以外に誰が来られるんですか??』




『私の同期4人だよー!隣の課の人もいるよ』




『緊張するけど、楽しみにしてます!』




『私も河島さんと飲めるの楽しみにしてるー』




そしていよいよ飲み会当日。




予告通り福岡さんは先にオフィスを出て行った。




私も福岡さんが出てから5分後にオフィスを後にする。



「すみませんが、お先に失礼します」




浮かれぽんちが出ないように、すんとすまして出て来ちゃって、フロアのドアが閉まった瞬間嬉しさのあまりぶるっと身体が震えた。




小走りで友達と待ち合わせしている駅に向かい、お店のドアを開ける。




緊張が走る。




奥に案内されると、福岡さん、男性4人が席に座っていた。




「お待たせしました」




声ちっさ。心の中で突っ込みを入れながら、みんなそれぞれ席に着いた。



私の右側、ずっと会いたかった人。




隣に座りながら、彼の匂いをさりげなく吸い込む。



黒縁メガネで、私の妄想のお相手。





大原さん!!!




「はじめましてー。河島です」




「どうも大原です」




思ったより声高めのギャップに既に萌えております。



心臓もつかな。。。
彼とは全く仕事で交わることはなかった。



お茶出しを頼まれて、隣の島の前を通り過ぎる時、ちらりと例の彼を見る。


眉ひとつ動かさず、パソコンに向かう彼が素敵で、心臓破りの坂を登り切る時のようにばっくばっく。と心臓が鼓動している。



素敵だぁ。話したい。近づいて目が合って、




メガネの奥の瞳の視線が私を捉えて、おもむろに彼が私の手を、、、



って、この短時間で妄想しちゃってる自分。



痛いよお。。。



そんな痛い女であり続けた私に、突然チャンスが降りかかってきたの。



ある時、珍しく部内のメンバーで飲み会をした。



私の隣にいたのは、福岡さん。アネゴと呼んでる綺麗な先輩。



酔った勢いで、ついつい口を滑らせてしまった。


「福岡さぁぁん。実は、、、うちの会社にいいなって思う人がいるんですよ」




「えぇぇぇ、誰?だれ?私の知ってる人かなぁ」


非常に興味深々な福岡さん。ビールをぐいっと飲み干して、私の近くに顔を寄せてくる。



「名前知らないんですけど。。。隣の課の、ハードウェア担当している人だと。。背が高くて、黒縁のメガネをかけていて、少し色黒で。。。」






「あー!!分かった!きっと大原だ!私の同期だよ。へー。河島さん大原みたいのがタイプなんだ」



「えっ、お知り合いなんですか?!」



「まぁねー。あまり絡みないけど。確か同期独身ばっかりだからさ、今度飲み会する?」




「えええー!!!!まじですか!是非お願いしたいです!!!アネゴ!」



大興奮の私。



「おっけー。そしたら日程決めよ!明日みんなに聞いてみるね!」



こうして、ひょんなことから大原さんという先輩たちと飲み会をすることになったのでした。
そう、あれはまだ右目の下にシミなんか無いくらい若かりし20代前半の頃。


あたしはとあるIT系の企業で働いていた。そこそこ大きいところで従業員も何千人といた場所で、幸運にも同じフロアで出会ってしまった。



そう、彼を一目見た瞬間に空から射落とされた小鳥のような。そんな気分。惚れた。。。



黒縁メガネ、細身の体型で少し色黒。



メガネの奥は切れ長の綺麗な目。



ピクリとも笑わずパソコンに向かって仕事をしている。



これは、やばい。。。



彼には、ビルのフロアを私の部署が引越ししたことで出会えた。



隣の島の彼。



名前が知りたい。



普段は何をしているのか。



隣には女の先輩がいて、引越しの翌日こっそり聞いてみた。



「神谷さん、神谷さん、あの、、、仕事と全く関係ない話してもいいですか」



「河島さんどうしたの、急に!全然いいけど。どうしたの」



「あの、私たちの後ろの島にいる黒縁メガネの彼がめっちゃタイプなんですよ!」



「えー、だれだれー?あ、あの人見たことあるかも」



「そうなんですか?」



「多分私たちと同い年くらいだと思うよ」



神谷さんは私の5つ年上。



彼も年上かー!



私はその日から、名前も知らない彼をこっそりと見つめる日々が続くのでした。