学習心理学

技術習得に必要な準備

この項目における学習項目

レディネス
ボイストレーニングにおけるレディネス
レディネスを意識した訓練プログラム

この項目の到達目標

到達度確認
レディネスとは何か理解できる
レディネスの重要性が理解でき、意識した訓練プログラムの立案ができる

 

◆レディネスとは

 何かを会得するために必要な諸々の準備の事。主に小児発達の領域で使われる用語。
 身体構造、心身機能、技能、認知など様々な種類のレディネスが存在する。

 例)自転車の運転に必要なレディネス
   身体構造:両足があり、左右のペダルに届く位に体が成長している
   心身機能:ペダルを踏むことができ、前に進むために必要な脚力をかけることができる
    技能 :左右の足で交互にペダルを踏み、体幹でバランスが取れる
    認知 :自転車が乗り物であり、サドルに座ってペダルを踏むことで進むものだと理解できる

 以上のように、1つの事を会得するために様々な領域におけるレディネスが必要となる


◆ボイストレーニングにおけるレディネス

 ボイストレーニングでも、習得段階に応じて異なる領域のレディネスが必要になる
 ここでは、SOS学習モデルと照らし合わせた解説をしていく

 ・認知領域のレディネス
  主に知覚認知と理解の段階で必要となる。
  新たな事の理解には正確な認知が必要 → それに付随する知識と認知経験も要求される。
  例)綺麗な裏声の理解
    綺麗な裏声=余分な力みの抜けた裏声という知識
    余分な力みの有無による声質の違いという知識
    綺麗な裏声と綺麗でない裏声の違いを聴き比べる認知経験 など

 ・身体構造領域でのレディネス
  主に獲得段階で必要となる。
  声帯の器質的疾患の有無など、ボイストレーニングでは健康であるか否かがこの領域となる

 ・心身機能領域でのレディネス
  主に獲得段階で必要となる。
  必要な筋力や神経伝達力が備わっているかなど、主に発声能力全般がこの領域となる
  

  ボイストレーニングにおける発声訓練は
  発声機能を鍛える → この領域のレディネスを充足させる → 次の習得段階へと進む
  というのが主な目的となる。

 ・技能領域でのレディネス
  主に獲得段階で必要となる。
  必要な身体機能が足りている状態で、適した運動学習の経験があるか否かがこの領域となる

  例)ビブラート
    ・ビブラートの獲得段階でのレディネス
     →音程を素早く上下させる技能の習得がなされている事
    ・ビブラートを歌唱中に使用する段階でのレディネス
     →ビブラートの獲得が出来ており、訓練場面ではビブラートが可能である事

 

◆レディネスを意識した訓練プログラム

 ある技能の習得には、以下の6段階をたどる必要がある
 ・感覚→知覚認知→獲得→成功率向上→安定使用→無意識使用 ※SOS学習モデルより
 これにより、ボイストレーニングに必要なレディネスとしては
 
 認知系→心身機能→技能系

 という順で必要になる。

 よって、ボイストレーニングのレディネスを満たすには

 ・まずは正しく理解すること
 ・その後に発声の機能面を鍛える
 ・最後に技能を習得する

 以上の流れが重要となる。

 

 

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