発声はスポーツのようなもので、目には見えませんが様々な筋肉を動かしています。
スポーツをする前にウォーミングアップをするのと同じように、発声をする前にもウォーミングアップをする事をオススメします。
ですが、お友達とカラオケに行って自分だけウォーミングアップをするなんて事は難しいかと思いますので、ご自宅でも出来る簡単な作業を中心に、発声の際にどんな筋肉が動いているのかを確認してみましょう。


4つのストレッチ
・首のストレッチ
1.ゆっくりと首を回す
2.顔を上げて、首の正面の筋肉を伸ばす
3.顔を上げた状態から横に傾けて、首の横の筋肉を伸ばす
4.鎖骨と鎖骨の間にある窪みを軽く押す
5.鎖骨の上の辺りを軽くマッサージする

・唇と表情筋のストレッチ
1.顔のパーツを全て中心に集めるつもりで、唇を前に突き出した「ウ」の形にする
2.唇をめくるつもりで、外側に開く(上唇を鼻につけるイメージで)
3.口角を思い切り横に引いて、前歯をみせるつもりで「イ」の形にする
4.頬を膨らませ、口を閉じたままガムを噛んでいるつもりで何度か噛む

・舌のストレッチ
1.舌を出来る限り外に出し、3秒後に引っ込める(何度か繰り返す)
2.舌を出して、口を開けたまま上下左右に動かす

・舌根のストレッチ
アゴの下(歯の真下より少し喉寄り)に親指を当て、軽く揺する程度の力でマッサージ


軽い発声を取り入れたウォーミングアップ
【リップロール】
リップロールとは、唇を合わせた状態で息を吹き込み、唇を振動させるウォーミングアップです。
これが、実に優れたウォーミングアップとされています。
高音域の発声や力強い発声をしようとした際に、喉を締めつけてしまったり詰まりを感じてしまったりする方には特にオススメです。


・リップロールの効果
1.喉の余計な力が抜け、声を出し続けても疲れにくくなる
2.低音域から高音域までの移行が、自然に行なえるようになる
3.音域(声域)が拡がり、高音域が出しやすくなる
4.声の高さに合った息の量や圧力が調整出来るので、どの音域(声域)も無理なく発声する事が出来る
5.アゴや唇、舌根の力が抜きやすくなる


・リップロールのやり方
1.唇を閉じた状態で唇の力を抜き、息を吹き込むと唇が振動します。
  上手く出来ない場合は、両手で頬を上に持ち上げた状態で行なって
みましょう。
振動が止まらないように息を一定に調節しつつ、長く振動させられる
ように心掛けてみましょう。

2.振動させた状態で、そのまま声を出します。
  地声から裏声まで、色々な音域(声域)で行えるように心掛けてみましょう。
  少し慣れてきたら、地声から裏声まで一気に上昇し、裏声から地声まで
一気に下降してみましょう。

3.好きな曲に合わせて、リップロールでメロディーをなぞってみましょう。


【ワンポイントアドバイス】
喉が力みやすい方は、高音域を発声しようとした際に喉仏が上がってしまいます。
そういう方は、リップロールを行なう際に、意識的に喉仏を下げる事を心掛けてみましょう。



【ハミング】
ハミングとは、口を閉じたまま鼻に息を通して歌う鼻歌のようなウォーミングアップです。
高音域を安定させる為に大切なポイントであり、これから出てくる鼻腔共鳴にも繋がってきます。


・ハミングの効果
1.高音域を発声する為に必要な、声の通り道が確保出来る
2.ピッチが安定しやすくなる
3.声の抜けが良くなる


・ハミングのやり方
1.喉はアクビをしているような感覚で、喉を締めたり詰まらせたりせず力を
抜きましょう。

2.口を軽く閉じて、口の中に水を溜めているような感覚で、口の中を丸く
開けます。

3.自分が楽に出せる音域(声域)で、口を閉じたまま「ム~」というような
イメージで、唇や鼻の辺りへの響きを確認します。

4.響きが分かりにくい場合は、人差し指を唇に軽く当て、指先に震える
感覚があるか確認してみましょう。
唇の合わせ目が振動していれば、口腔に響いている証拠です。
軽く小鼻の辺りを摘まんで振動していれば、鼻腔に響いている証拠です。

5.感覚が掴めたら、ハミングしながら口を開けたり閉じたりしてみましょう。
  アゴや舌根に余計な力が入ってしまっていると、口を開けたハミングは
  出来ません。
  響きが変わらないように、意識して行なってみましょう。


【ワンポイントアドバイス】
ハミングを行なう際は、自分が楽に出せる一番大きい音を心掛けてみましょう。
小さい音で練習していても、なかなか響きの感覚が掴めません。
喉が力んでしまわない程度に、大きな音で行なってみましょう。



【タングトリル】
タングトリルとは、上の歯の裏側に舌を当てたまま息を吹き込む事で、舌先を「トゥルルル」と振動させる巻き舌のようなウォーミングアップです。


・タングトリルの効果
1.リップロールと同じような効果がある
2.舌のリラックス効果がある


・タングトリルのやり方
1.「ラ」の発音の位置に舌先を置き、舌先の力を抜いて息を吹き込むと振動
します。

2.上手く出来ない場合は、少し舌先の位置をずらしたり力の掛け具合を調節
したりして、なるべく長くタングトリルが出来るように心掛けましょう。

3.好きな曲に合わせて、タングトリルでメロディーをなぞってみましょう。


【ワンポイントアドバイス】
リップロールと比べて、タングトリルは苦手な方が多いので、どちらか好きな方をウォーミングアップで活用してみましょう。



【エッジボイス】
エッジボイスとは、低音域で声帯を「ブツブツ」と振動させた声です。
別名【ボーカルフライ】とも呼ばれ、ウォーミングアップに活用されています。


・エッジボイスの効果
1.発声器官の脱力や、声帯閉鎖の感覚を掴む事が出来る

2.大きい声が出せない環境でも、喉の立ち上げを行なう事が出来る


・エッジボイスのやり方
1.声を出しながら音程を低くしていき、これ以上下げられないという
音程まで下げていくと「ブツブツ」という声帯の振動音が聞こえてきます。

2.感覚が掴めない場合は、声帯の閉鎖筋が弱い可能性があるので、以下の
手順を踏んでみましょう。
①息を止めます。(息を止めると声帯は完全に閉鎖します)
②息を止めたまま「アッアッアッ」と切りながら発声すると、非常に強く
響いた声が出ます。
③響いた声の感覚が掴めたら、この声を確実に狙って出せるようにします。
④この声のまま声を低くしていくと、エッジボイスになります。


【ワンポイントアドバイス】
エッジボイスに慣れてきたら、大きな音量のエッジボイスが出せるように心掛けてみましょう。
息の量を増やすのではなく、声帯を閉鎖する事で大きな音量になります。
プロの方も舞台袖などで行なっているウォーミングアップなので、是非活用してみましょう。

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