「ウォリアーズ」"The Warriors"(1979) 
ウォルター・ヒル監督作品。アメリカ映画。
 中学生の頃に映画観で観た。倉敷駅前に大通りから斜めに外れた細く暗い路地のような商店街がある。一番街商店街である。その商店街を奥へ向かうとその外れにかつてセンシュー座(千秋座)という映画館があった。どうもそこで観たような感じがする。誰と観たか、それはもはや忘れてしまった。何かとカップリングの同時上映だったと思うが、それすらも思い出せない。むしろその忘れてしまった方の映画が当時、お目当てだったに違いないのだが。年を重ね、さまざまなことが忘却の彼方へと押しやられている。
 当時は監督ウォルター・ヒルの名も知らず、ただのB級作品として観た。しかし、この混乱、凄まじい混沌、闇の中の逃走、暴力、スピード感、グラフィック・ノヴェルを読んでいるかのようなポップ感...これほど一度の視聴で忘れ得ない印象を受けた映画はない。これにはやはり、シアターでしか体感し得ない興奮がある。
 カリスマ的人物の呼びかけによって、ニューヨークのギャング団、チーム、というべきか、がブロンクスの公園に集結する。このチームがどれも面白い。各々が独自のコスチュームでメイクを施しており異様である。



 ところがそのカリスマリーダーは演説中に何者かによって暗殺されてしまう。ローグスのリーダーのルーサーは近くにいたウォリアーズがやったのだと叫ぶ。さまざまなチームによる追撃、そしてウォリアーズの逃走が始まる...

 忘れられない場面がある。デヴィッド・パトリック・ケリー演ずるウォリアーズを陥れたローグスのリーダー、ルーサー、この男は実は殺害の真犯人なのであるが、彼がウォリアーズを誘い出す場面でのリフレイン、

"Warriors! Come out to play-ay!" 
「ウォリアーズ、あそびま〜しょ!」
これは一度観ただけで忘れられないシーンである。

P.S.
 わかった!
 同時上映は「ハロウィン」(1978)という恐怖映画である。監督はジョン・カーペンター。同時期に公開されたリストを見ていて気付いたのである。これを観にガールフレンドのサッちゃんとセンシュー座へ行ったのである。間違いない。羽織るものがなく、友人Kくんの家まで行って、ジャケットを借りたのである。ホラー映画の方は内容をよく覚えていないが、その陰惨な内容ゆえ、わたしたちふたりのあいだには不快極まりない雰囲気が漂うことになってしまった...

 しかし、よく2本も観たな。さびれ、暗く裏寂しいアーケード街の一番街商店街を気まずい思いで、何も喋らず二人で歩いて帰ったのを覚えている。サチコさん、あの時はすみませんでした。
 ただ、こうまでして調べなければ、これらの記憶は確実に忘れられてしまっていたかもしれない。あのときの初々しい感情自体も... 記憶こそ人間が生きてきた証ではないか。年をとるということはこういうことなのだろうか。