ポール・シュレイダー、そしてレナード・シュレイダー(Paul and Leonard Schrader)。この二人ほど学生の頃からことあるごとに私が関心を惹かれてきた人たちもいないかもしれない。





 何故か。それはやはりまず日本との関わりを無視することはできない。

   シドニー・ポラック監督『ザ・ヤクザ』"The Yakuza"(1974年)では兄弟で脚本を担当。ロバート・ミッチャムとケン・タカクラ共演。この硬質なフィルムノワール作品は彼らの日本理解に基づく脚本なくしては成立しなかっただろう。"Mishima: A Life In Four Chapters"でも二人で脚本を担当。ポールが監督を務める。そしてポールの『タクシードライバー』(1976)の脚本。レナードの日本映画『太陽を盗んだ男』(1979)の共同脚本。そして映画『蜘蛛女のキス』- "Kiss of the Spider Woman”(1985)の脚本。

 実際もうキリがないほどである。

ただ、まだ何か本質を言い当てていない気がする。

さまざまな夾雑物を取り除くと、やはりそれらの作品群には彼らの人間観、人間存在に対する彼ら自身の血の通った、葛藤を孕んだ愛惜のようなものが残るような気がするのであります。